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経済学者はなんのために存在するのか [Economics]

090201_2228~01.JPG Joan Robinson



ケインズの愛弟子、ジョーンロビンソン, 1903-83, の言葉:

The purpose of studying economics is not to acquire a set of ready-made answers to economic questions, but to learn how to avoid being deceived by economists.  in "Marx, Marshall, and Keynes" (1955).

 「経済学を学ぶ目的は、経済の問題に対して一連の出来合いの答えを得るためではなく、どうしたら経済学者に騙されないかを学ぶことである。」


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奥村宏『世界金融恐慌』12/22/2008を図書館で借りてきた。はしがきで岩井克人(東大)の発言(朝日新聞、10/17/2008)を引用している:

「。。かくも大きな金融恐慌が自分が生きている間に起きたことには驚いた。だが、起こること自体には驚いていない。私は資本主義というものが本質的にこういう不安定さを持っていると常に考えているので、理論的には予測されたことだったからだ。」


奥村宏はこの岩井の発言につづけて、つぎのようにいう。

「資本主義は本質的に不安定だから、こういうことも起こる、といったのでは、人びとはあきらめるしかない。
 そうではなく、なぜこんなことが起こったのか、ということを事実の上に立って解明し、そして過去の歴史と比べてどこが似ており、どこが違うのか、ということを検討することが必要なのではないか。」



大恐慌が来ても国立大学教員としての雇用と給与が保証されている岩井(経済学者)のお気楽なKY発言を読んで、わたしは、ジョーンロビンソンの上記のコトバをフト思い出したのだ。

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6年前の1月20日に癌で死んだ編集者ヤスケンこと安原顕(1939-2003)の書評集『だからどうした本の虫』(1999年8月発行)を再読していたら次の文章に出会った。上田・西村・稲垣著『複雑系を超えて』を安原が書評した、その末尾の文章である:

「。。最後にもうひと言だけ。いまや世界経済はヘッジファンドが牛耳り、手持ち資金の10倍は運用可能ゆえ、150兆ドル(全世界の国民総生産の四年分!)もの金を動かしている。中には99.9%は失敗するデリバティブまである。ということは、いかに高邁な経済理論を説き、現状を分析しようとも、こうした異常なシステムをただちに禁止せぬ限り、世界経済の壊滅は間近と思うが如何。」


哲学者たちはただ世界をさまざまに解釈してきたにすぎない。肝腎なのは、世界を Change!することである。。。こう言ったのは誰だったか?


ケインズ学者スキデルスキーがワシントンポスト紙に書いている。我々はケインズの教えたことをすべて忘れてしまった、と。
We Forgot Everything Keynes Taught Us By Robert Skidelsky、Sunday, October 19, 2008;
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2008/10/13/AR2008101302090_pf.html

ケインズを読まない(KY)学者や実務者、経営者が資本主義市場に蔓延すれば彼らの作為と不作為から、理論の<予想する通り>、恐慌は自然現象のように、何度でもおそってくる。


090201_2227~01.JPG 安原顕


たちすくむケインズ学者
http://furuido.blog.so-net.ne.jp/2006-06-03


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十楽人

安原 顕のスゴサ

今更ナンですが、、、、。「最後にもう一言だけ」はスゴイですね。経済学者でもない彼が、10年前にこれ(経済学者が見苦しくも後付けでしか言えないこと)を言っているとは。
『三四郎』の中の「日本は滅びるね」を想起させます。
ジャーナリストでこのヤスケンの発言をとりあげた者は寡聞にして知りませんが、これを見つけた古井戸さんの日ごろの蘊蓄もすごいと感じ入ります。
by 十楽人 (2009-09-30 17:52) 

古井戸

英国のスーザンストレンジは『カジノ資本主義』1986や、『マッドマネー』などの著作で、経済破綻を予言していたといっていいでしょうね。
http://autonome.blog7.fc2.com/blog-entry-42.html
by 古井戸 (2009-10-01 09:58) 

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