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『産婆になりましょう』  助産・出産ビジネスにおける今どきのリスク・マネージメント [Welfare]

                              

 

『 妊婦検診を一度も受けず、産まれる直前に病院に駆け込む「飛び込み出産」が増えている、今年夏、奈良など各地で妊婦の搬送受け入れ拒否が発覚したが、病院側が断った理由の一つは「未受診」だった。 医師からは「妊婦としての自覚をもって」と悲鳴が上がっている。一方で、未受診には産科施設の集約化や格差拡大による経済苦なども背景にある。

(略)

 妊婦の救急搬送の受け入れ拒否の原因として、医師やNICU(新生児集中治療室)不足のほかに「未受診」があるといわれる。未受診に特徴的なのは、リスクの高さと出産費用の未払い問題である。 未受診だった理由で最も多かったのは「経済的な理由」で12人。41人のうち11人は出産費用を病院に支払わなかった。

健診費用は一回5千円~1万円、厚労省によると健診は14回程度が望ましく最低5回は必要とする。だが自治体の公費助成は平均2.8回にとどまる。

「国は妊娠・出産に関し最低必要な医療内容と費用を算出し、その部分は公費で手当をしてほしい」茨城県立医療大学の加納尚美教授(助産学)』

 

 以上、朝日新聞11月18日朝刊第一面記事  『検診せず出産、急増 たらい回しの一因/背景に経済苦』 から抜粋。

 

「病院 + たらい回し + 妊婦」で検索すると、「未受診」の母親に対するバッシングが盛んである。夫も妻もフリーターで、預金もわずか。このような夫婦の心配は赤ん坊の健康より、まず出産費用(30万円超)の工面では無かろうか。出産費用は保険対象外。大企業なら出産費用は手当てで支給されるが非正規労働者にはそういう手当は無かろう。まして、月一回の健診など考えもしないだろう。妻はいつから休業(無給となる)しようか。育児はどうしようか、育児に費用はどのくらいかかるのだろうか。。と、妊娠の喜びよりまず不安が先に立つのではないか。 現在の日本に、このような状況にある若い夫婦の多いことは容易に想像がつく。これを問題と感じない人間が政治や医療の分野に棲息していることがまず問題である。

 

奈良県の妊婦たらい回しを報じた産経新聞: http://www.geocities.jp/daruma002jmhs/syasetu-colom07.08.html

>奈良県の幹部は「かかりつけ医のいない妊婦の搬送は想定外だった。すぐに対策をとりたい」と話すが、トラブルや事故は予期せぬ中で発生するのが常である。早急に抜本的対策をとる必要があろう。

 

<かかりつけ医のいない妊婦の搬送は想定外>。。これは嘘である。かかりつけ医がいない妊婦という理由で拒否していたのである。

 

いったい新生児集中治療室など必要なのだろうか?そういう治療の必要な赤ん坊には死んでもらってよいから何億円もかかるNICUやそれに群がる医師はすぐに撤去、解雇し、その費用で多数の産婆技能(助産婦)を養成する必要があるのではないか。クルマのない夫婦にとっては、どんどん減っている病院と産婦人科に通院するだけでも大変である(病院の医師、もとい病院ビジネスマンあるいはエンジニア、はこういうことは考えもしないだろう)。

 

 昭和20年代に田舎で産まれた私や弟を産んだ母は毎月一度の健診などやっていない。死産した私の姉も含めて近所の佐々木さんという産婆さんを親父が呼びにいって世話になった。明治(それ以前)から昭和のある時期まで出産はすべて産婆さんが行っていたはずである。

 いったい、どこから、健診を行っていない駆け込みの妊婦はお断り、という回答が出てくるのだろうか? 私は宇宙の果ての話ではないか、と一瞬、わが眼と耳を疑う。世も末か。こういう病院は健診にもいけない夫婦に対し、せめてパンフレット『堕胎ノススメ』でも発行したらどう? 

 

 

救うべきは赤ん坊ではない。母親とその夫であり、彼らの日常の経済状態である。 健診や出産に掛かる費用を捻出できない二十代三十代の若く貧しい夫婦の存在を、労働賃金施策の拙さ、と感じない貧困国家ニッポンの官僚や経団連も、救われるべきか?哀れむべきか。

生活の苦しい妊婦は、妊婦検診などする必要はない。堂々と、緊急入院を要求しよう。

 

 

 

生児集中治療室などのハイテクで武装した大病院の医師たちは、健診をしていない、というそれだけの理由で産気づいた婦人の入院を拒否するのが今風のリスクマネジメントか? 1945年8月6日の夜、瓦礫の中、闇の中で産気づいた婦人から、なんの道具もなく身体一つで、赤子を取りだした後、絶命した産婆の爪の垢でも飲むがよかろう。

Let Us Be Midwives

http://heartfulllife.seesaa.net/archives/20070804-1.html

 

「産婆になりましょう」  ~生ましめんかな。

http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/400/4193.html#more


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コメント 8

satiko

専門職でもないのに、分かったように語らないで頂きたい。助産をビジネスととらえる見方や、救うべきは妊婦という偏った考え方を持っていることに関して大変残念に思う。こういった趣旨の問題は、専門職でなければ分からないものと考える。個人としての医師の問題ではなく、病院という組織の、ひいては日本の医療体制の問題であり、単に医師を非難すべき問題ではない。長く助産師をやっているが、あなたの意見には賛同できない。このような問題の背景には、日本助産師会、看護協会、医師会などが絡み合っており、そう簡単に解決する問題ではない。

by satiko (2009-01-01 08:49) 

古井戸

>助産をビジネスととらえる見方や、救うべきは妊婦という偏った考え方を持っていることに関して大変残念に思う

一体なにを読んでいるのか? ビジネス化、を批判し、公費助成をヤレ、と主張しているのだよ。
あなたのような<専門家>風を振り回すゴーマンな無能者が跋扈しているのが医療堕落の原因なのだ。

>そう簡単に解決する問題ではない。

ならば、黙っていてもらいたい。
by 古井戸 (2009-01-01 21:00) 

ぽぽ

いやー
おっしゃるとおりです。金ないんだから医師じゃなくて
産婆で充分ですよね。一流の医療を受けさせようとするから
無理なわけで。お金ない人は産婆で充分。

by ぽぽ (2009-08-09 23:23) 

古井戸

金が有ろうと無かろうと関係なく、費用負担なく、不安なく、産めるようにすべき、だと言っているつもりだが。健診を含め。正常分娩できるかどうかは(産婆さんで無理かどうか)、事前の健診でわかる。
by 古井戸 (2009-08-10 09:28) 

yanyan

いつも興味深く拝読させていただいております。残念ながらこの件については予断と偏見に満ちた一方的な推論で残念です。

>健診を含め。正常分娩できるかどうかは(産婆さんで無理かどうか)、事前の健診でわかる。

だから事前の健診を受けていない飛び込み妊婦を産科医がいやがるのでしょう。

by yanyan (2009-08-12 16:16) 

古井戸

>>健診を含め。正常分娩できるかどうかは(産婆さんで無理かどうか)、事前の健診でわかる。
>だから事前の健診を受けていない飛び込み妊婦を産科医がいやがるのでしょう。

問題をはぐらかしていますね。
嫌がる医者は多いでしょう。拒否するかどうか、ですよ。いやがるだけなら今どきニッポンに珍しくもない。このニュースでは診療を拒否したのです。嫌がる、のと、拒否するのは大違いですよ。

 わたしの<事前の健診でわかる>という文を
 事前の検診を受けなければなにもわからない、拒否してかまわない、と、読み替えるのはヨクナイ。

事前の健診を受けていれば正確な判断がしやすい、という程度のものでしょ。そうでなければ救急病院などやっていられないでしょう。

なぜ、かかりつけ医師がいないのか、金はあるのに単なる横着?仕事のせい? このくらいの問題意識は持ってもらいたいものです。

診療拒否するような医師をかかりつけ医師として持つ妊婦は不幸です。
by 古井戸 (2009-08-12 18:45) 

yanyan

>問題をはぐらかしていますね。
嫌がる医者は多いでしょう。拒否するかどうか、ですよ。いやがるだけなら今どきニッポンに珍しくもない。このニュースでは診療を拒否したのです。嫌がる、のと、拒否するのは大違いですよ。

昔も今も飛び込み妊婦を嫌がらない産科医はいないと思います。昔は嫌だけど仕事だから仕方がないとして診ていた。最近になって診療拒否というケースが出てきた(実際には今でもほとんどのケースでは診療を引き受けていると思います)。じゃあ、昔の産科医は偉くて、今の産科医はとんでもないやつらなのか?何故、医者の数は増えても産科医の数は減っているのか? そういうことを考えていただきたい。

>なぜ、かかりつけ医師がいないのか、金はあるのに単なる横着?仕事のせい? このくらいの問題意識は持ってもらいたいものです。

問題だと意識するかどうかは別にして、普通に知性があって医療に従事していれば、そういうことは必ず考えるでしょう。しかし産科医療をとりまく問題(産科だけではないが)と、経済的に困窮している妊婦に対する支援の問題とは別個に考えないといけないのではないでしょうか。

by yanyan (2009-08-14 13:42) 

古井戸

>何故、医者の数は増えても産科医の数は減っているのか? そういうことを考えていただきたい.

それこそ、知性があれば、必ず考えるでしょう。
医療に従事していなくても、ではなく、医療に従事しているニンゲンでさえ考えるでしょう。
政策問題と、眼前の緊急問題(患者の飛び込み)は問題が別です。まさか、政策がケシカランから、診療を拒否する!というわけじゃありますまい。

わたしの母の時代(戦中戦前、戦争直後)、妊婦が産科医に定期健診など掛かっていなかった。そういうことを現代の産科医にはしってもらいたい。

>しかし産科医療をとりまく問題(産科だけではないが)と、経済的に困窮している妊婦に対する支援の問題とは別個に考えないといけないのではないでしょうか。

医師にこの問題を考えろ、というのは無理のようです。
しかし、経済的に困窮している妊婦と、そうでない妊婦のどちらに定期健診を受ける(受けない)例が多いか、は調査するまでもなく明か。(医師にはわからないでしょうが、中学生でもそういうことはわかります)

現在の医療、医師問題と、患者(になりうる国民の)の所得の問題に相関がないとお考えか?それは想像力というより経済学の問題でしょう。しかし、答えだけなら中学生にもわかります。

この政策問題が、

>経済的に困窮している妊婦に対する支援の問題とは別個

。。でしょうか?出産と健診がすべて無料になれば、診療拒否が減る、とは考えないのでしょうか?

しかし診療拒否が、患者の所得(国家の支援)とダイレクトに相関する、というのは、医師教育或いは医師の自覚の貧困だとわたしはおもいます。誰でも医師になれる、のを喜ぶべきかどうか、迷うところです。医師は金もうけにはならない、として、医師のなり手が少なくなる、これ自体は悪いことではない。医師の所得は国により異なる。米国の検診料、出産料は驚くほど高い。

所得水準が理由で日本に医師が少ないのなら、海外から医師と病院経営を導入すべきです。
by 古井戸 (2009-08-20 08:24) 

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