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これでわかった、「国家の品格」 [Joke]

数学者藤原正彦(お茶の水女子大)の「国家の品格」が売れているそうだ。
私の町の図書館に今朝アクセスしてみてびっくらこ、予約リストに、50人も並んでいる。。
しかも、市内にある5館とも、購入しているのだ。。

今朝の朝日新聞、藤原と、評論家内田樹(たつる)が 国家の品格とはなにか、を論じている。
本を読む手間がはぶけた(こんなタイトル本、金やる、といわれても読まんけど)。

まず、アマゾンで目次を調べた↓。

第1章 近代的合理精神の限界
第2章 「論理」だけでは世界が破綻する
第3章 自由、平等、民主主義を疑う
第4章 「情緒」と「形」の国、日本
第5章 「武士道精神」の復活を
第6章 なぜ「情緒と形」が大事なのか
第7章 国家の品格

##
おいおい。。。数学者が「論理だけでは世界が破産する」、というてええの?
下らん「論理」では世界が破綻する、と、言い替えたらどうなん?
第三章。 ビックリだね。こんな アホな章を削除せず、みとめるところなぞ、さっすが、慎重新書、もとい、新潮新書@!!@。

で、藤原の主張だが、。。
1 日本の現状(格差社会、米国のいいなり、勝ち馬主義、自然破壊。。)の元凶は
  アメリカ流の経済至上主義や市場原理主義だ!
  市場原理で代表されるアングロサクソンの「論理と合理」を許し続けたら、日本だけでなく世界もめちゃくちゃになる。
2  こんな世界の中で、日本はどうすべきか。経済的豊かさをある程度犠牲にしても「品格ある国家」をめざすべき、という。そのため、なんと、突然、
                   武士道精神
が登場。新渡戸稲造の、「武士道」の精神を復活させることだ!という。(岩波書店、よろこんだ?)。それでもって、武士道の中核は「ソク隠の情」を示すことだという。ソク隠の情=弱者、敗者、虐げられた者への思いやりであり、共感と涙、である(武士道、ってそうだっけ?)。

3 愛国心にはナショナリズム(国益主義=不潔な考え)と、祖国愛(パトリオティズム)の2つがある。自分の生まれた国の自然や文化、伝統情緒といったものをこよなく愛する考え方、祖国を愛すれば、相手の祖国愛もよくわかる。
 ソク隠という美しい情緒を、論理や合理に凝り固まった世界に広めることが日本の果たすべき役割なのだ。
##

つぎ、内田樹の登場。(フランス現代思想、神戸女学院大教授)

1 部分的には同調できる(小学校で英語を教えるより、日本語を教えろ、など)
  しかし、自分のクニを愛していてもそれが、国家の品格につながるわけではない。

2 国家に品格があるとすればそれは、「あのクニには品格がある」という外部からの評価にしか基礎づけられないだろう(なぜなの?他人の評価より、まず、自己評価できんようなのはオトナじゃないでしょ?外部の評価はその後についてくるんですよ。独立しなさい)
  外部(たとえば在留外国人)、が要求する 品格、とは、
法治主義、通貨の安定、公共機関の信頼性、行政の合理性、といった徳目でもっとも重要なのはフェアネスであろう。
3 国家の品格が売れることは、日本国民が潜在的に持つ反米感情による、とわたし(内田)は見る。

##以上

フェアネス、をもちだしてもいいが、
第3章 自由、平等、民主主義を疑う。。。

のではなく、自由、平等、民主主義、を貫徹し、
国民に最低限の文化的生活を保証し、
国民に主権があることを理解し、
国民の思想信条を保証する。

ことでしょうが(なんのことはない、憲法が謳っていることだ。藤原さん、日本国憲法など知らんだろなあ。。数学者だから無理ないが)? 賄賂ジャブジャブ、裏金天下り、インサイダーやり放題の無法者に「ソク隠の情」などかけず、ビシバシ引っ捕らえることでしょうが? 外国から、ああ、「ニッポンには品格がある」とおもわれたければ。

♪♪♪   ゴーマンかましてよかですか~♪♪♪

「国家の品格」とは、ソク隠の情も、武士道もへったくれもない!
反米も、反アングロサクソンも、関係ない!
        自由、平等、民主主義を貫徹すること、すなわち、憲法を遵守すればええのんよ!!

*** 読まれた方。是非、異論反論オブジェクション、などを。。

## 追記
内田樹が言っている 評価は外部が行う、というのは、どういうことか?と少し考え直した。

あるひと(ひとびと)が行為や規則を作る場合(たとえば憲法)、おのれたちで独自に定められるのか? それとも、外部の眼(判定)を想定しなければ行為や規則制定できないのか?
憲法の前文には「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して」と謳っている。(もちろん、前文などに一字一句従う理由はないが) 憲法の諸規定は、すでに(善意ある)世界のあるいは万人の相互了承の元に、定められている、したがって、憲法に忠実にしたがっておれば、他者の目を行為の都度(あるいは法律制定の都度)考慮する必要はない、とおもうのだが。
 これは、つまらない、ことなのだろうか?


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renqing

どーもー。いちおう、コメント返し。

すでに、この「天才バカ本」については、ある程度書いてしまいました。↓
http://renqing.cocolog-nifty.com/bookjunkie/cat5561056/index.html
で、最も困るのは、学知レベルで極めていい加減、かつ間違っているのに、読者が、藤原氏の官立大学数学科教授という肩書きから、それが正しいと思いかねないことです。二つ目は、古井戸さんもご指摘のように、「法」というものが分かってないことです。憲法、あるいは立憲主義の根底には、汝殺すなかれ、汝盗むなかれ、といった国、時代を問わず納得できる「自然法」があるのです。これは己(人間)が、身体的、精神的に、いかに傷つきやすい vulnerable 生き物であるかを省みれば、だれもが得心出来ることだと思います。この単純な人間的事実から出発し、強き者も弱き者も、健康な者も不具な者も、また生まれ、門地に関係なく、誰もが社会の一構成員として、公正な扱いを受けるにはどうしたらよいのか、という人類の苦闘の成果が、自然法であり、そこから構成された近代立憲主義なのですね。こんな当たり前のことが、藤原氏には分かってなく、その言を喜んでしまう、多くの日本人にも分かっていない。それが非常に残念で、懸念すべき点だと思います。
by renqing (2006-05-06 13:37) 

古井戸

コメントありがとう御座います。
このカテゴリが Jokeであることからもおわかりのように、わたしは タイトルからして Joke本でしかない、と決めつけました。
したがって、本は読んでおらず、藤原VS内田樹執筆、による朝日新聞論評を読んだだけです。したがって、藤原氏からは抗議が来るかも知れないが。。

論評をサイトで拝見しましたが、失礼ながら、そのような詳細な読みが、必要なんだろうか?という本だと思いますね。バカの壁、といい対です。最近の新書ほんとに薄くなりました。Web進化論も一応私の専門分野でもありますから、発売直後、ここで書評しました。これは貴サイトでさらにくわしく猛追!されていましたね。。。この本の唯一の価値はあなたの書評を生み出したこと、といえるかも知れませんね。

また勉強しに訪問致します。
by 古井戸 (2006-05-06 14:15) 

NO NAME

>失礼ながら、そのような詳細な読みが、必要なんだろうか?
確かに。私も疲れるから嫌だったんです。
ただ、この売れ行きを見て、このまま放置することは、私の片々たる「知的に誠実でありたい」という願いを裏切ると思っちゃったんですね。自分でも馬っ鹿じゃなかろうか、とは思ったのですが。ま、そんなところです。
by NO NAME (2006-05-07 03:03) 

古井戸

おっしゃることは、同感です。

わたしも、バカの壁、や、国家の品格、書店で立ち読み、買ってきてぶっ飛ばし書評をしてやろうか、というおもいが頭をかすめたこともありましたが、無駄なエネルギーを費やすまい、と自省しました。
あなたとの、歳の差、エネルギーの差、だとおもいます。私、団塊の世代まっさかり、いま、下り坂、真っ盛り。

バカの壁、まっさかりの養老氏には、『形を読む』という名著があります。サラリーマン時代、深夜、国分寺駅前の書店で、ふと、みつけた作品。思い出があります。

まあ、名著で、あろうと、愚著、であろうと、人間は自分自身を語っているのかも知れませんね。けさ、わたしの最新記事、東京裁判、を校正していて、そうおもいました。
by 古井戸 (2006-05-07 04:57) 

古井戸

バカの壁、と国家の壁、もといバカの品格、もとい、国家の品格の著者による 対談、というのがバカの出版界の総仕上げ、として実現するのかも知れない、という悪夢をみました。
by 古井戸 (2006-05-07 05:05) 

renqing

>バカの壁、と国家の壁、もといバカの品格、もとい、国家の品格の著者による対談

nice、ですね。(^-^v
by renqing (2006-05-08 12:19) 

古井戸

ども。   実現のアカツキには、また、ホットな書評おねがいしますね!

大学教授のカベもしくはヒンカクについて、立花隆が『ノーテンキと東大』という新著を急遽発行して、テッテー的な問題の析出とコヅカイ稼ぎをやろうとしているらしい。 東大就職を記念して、隆ちゃんにも是非一章を当ててほしい、という出版社タッテの依頼につき、著者と出版社の間でホットな検討続行中と聞く。   古井戸の地獄耳情報でした。
by 古井戸 (2006-05-08 20:07) 

renqingj

>歳の差、エネルギーの差、だとおもいます。私、団塊の世代まっさかり、いま、下り坂、真っ盛り。

 いえいえ、どうして。これから、ひと花もふた花も咲かせそうな(狂い咲き?)、熱輻射をビシビシ感じます。見習いたい。地獄耳も期待してます。
妄言多謝。m(_ _)m
by renqingj (2006-05-09 02:12) 

古井戸

<バカの壁、と国家の壁、もといバカの品格、もとい、国家の品格の著者による対談> 企画を新潮社にもちこんで、 ささやかな 企画料 など よこしたまえ! セコイ考えを腹蔵したり、して、みようかな、と、おもったり。
これって、一種の品格?
by 古井戸 (2006-05-09 02:38) 

通りすがり

最近ウォルフレン「日本・権力構造の謎」を読みましたが、基本的に理知的なものを嫌い情だの権力だのに弱い日本人気質に関して、日本人自体が問題意識を持たないとだめでしょうね。日本人は聖人君主さえトップに立てば全てがうまく行くと考えているのかもしれないが、本来はそういうトップの恣意的判断に国家運営が左右されないようにするために法律などの理知的な枠組みがあることをどれだけわかっているのか…。
by 通りすがり (2006-08-11 00:58) 

古井戸

> 本来はそういうトップの恣意的判断に国家運営が左右されないようにするために法律などの理知的な枠組みがあることをどれだけわかっているのか…。

英国、フランス、米国。。では、400~300年前に革命や、内戦を経験しすったもんだしたあげく、近代憲法(あるいは慣習法~)を勝ち取った。いわゆる近代化。 日本の明治維新はチャンスだったのだが、伊藤等が 頭に、天皇をはめ込んで、日本の近代化、を阻止した。 せいぜい共和制、にすべきだった。

1945年がチャンスだったのですがね。反革命派に阻止された。
by 古井戸 (2006-08-11 09:14) 

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