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ロバート・オッペンハイマー [東日本大震災]

              Robert Oppenheimer(死の前年) 120209_0907~01.jpg





新年早々パソコンがクラッシュしてお気に入りの中身がゼロになった。いま思い出しながら復旧しているのだが、とりあえず愛読している藤永茂さんのブログから。

昨日プリントアウトしたのを読んでいるのだが中身は濃い。
ブログ、わたしの闇の奥
http://huzi.blog.ocn.ne.jp/darkness/

闇の奥(Heart of darkness)はコンラッドの名作。コッポラ@地獄の黙示録の原作。  
藤永さんはコンラッド『闇の奥』を訳して出版している。 


藤永茂さんは著名な化学者。
わたしが知ったのは『オッペンハイマー』(伝記、朝日新聞社)を読んだとき。この本は伝記としては大変な名著だと思うのだがあまり評判になっていない。なぜか再刊されず絶版状態だった。アマゾンで馬鹿高い値が付いていたので図書館で借りていたが、ある日値段が下がっているのを発見、即、購入。

ロバートオッペンハイマー。原爆の父、といわれている。
原発の開発リーダーを務めたが、広島で使用された後後悔し、水爆の開発に反対、国際管理を強く主張し、反米活動、共産党員の過去を疑われ公職追放になった。いまでは名誉回復されている。このやや軽いところもあるが文学の趣味もある早熟、教養豊かで鋭敏な神経の持ち主であるオッペンハイマーを簡潔に描いた作品である。もちろん、オッペンハイマーの業績もきちんと理解して解説している。英訳しても受賞するくらいの作品だと思う。

藤永さんは米国のインディアンや黒人差別にはきわめて批判精神旺盛。米国だけでなくアフリカに対する欧米の差別や悪行に痛烈な批判の矢を放つ。最近ではリビアやハイチについてメディアでは語られない真実、をブログに書き続けている。



http://abdora-nothing.blogspot.com/2011/04/blog-post_24.html#!/2011/04/blog-post_24.html このブログ著者は藤永の著書『闇の奥の、奥』を一部批判している。その批判はもっともだが、コロニアリズムを論じるに当たっては100%納得しうる書き方は困難ではないかとおもう(アフリカ人、であっても)。藤永のブログ全体を読まねばならない。



藤永さんは近著『アメリカンドリームという悪夢』で米国を痛烈に批判している。米国はオッペンハイマーを生んだ。原発を開発し(アインスタインの要請もあった)、その後、これを後悔し、国家から訴追され公職追放に至った男である。こういう男が日本人科学者にいたか?日本人科学界は一人でも<オッペンハイマー>を生んだか?を問わねばなるまい。ノーベル賞漁りしか生んでいない。

日本には反原発運動に身を挺している科学者がいる。学会は彼らを今後どのように遇すのであろうか。




Freeman Dyson がオッペンハイマーの最期を次のように書いている(藤永『オッペンハイマー』から)
「1966年3月、彼は喉頭癌による死が迫っていることを知った。彼に残された12ヶ月の間、彼の精神は肉体の衰えに反比例して強くなっていった。....彼は単純になり、直裁になり、不屈の勇気を示した。こうしてロスアラモスで彼の友人たちが見たものを、彼の目の当たりにしたのであった。打ちひしがれんばかりの重荷をにないながら、しかもその任務を見事なスタイルと上機嫌で遂行し、自ら模範を示して、周りの我々すべての精神を高揚させる、一人の男をみたのであった」

オッペンハイマーは1967年2月18日夕刻、62歳10ヶ月の生涯を終えた。死者に対する礼節を差し引いてもオッペンハイマーの生涯は人間として賞賛に値するといえる、とわたしは思う。オッペンハイマーは<純国産>の物理学者として米国物理学会を率いたひとである。フクシマ原発大事故のあと、ニッポンの学会の頂点近くにいる人間が何を発言したか、どう行動したかと比べるとその差は歴然である。日本の科学者で米国の原爆投下を批判できる人はいないはずである。


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花

下の記事にコメントさせて頂きたかったのですが、コメント欄がなかったので、こちらにコメントさせて頂きました。

瓦礫処理の件、古井戸さんの意見に賛成です。

ただでさえ、原発事故後、未だ放射性物質の飛散が止められていない状態で、被災地から遠く離れた土地にまで、放射性物質をばら撒くような愚行はするべきではないと思います。

私は都内に住んでいますが、福島、茨城あたりの野菜は売れずに残っていることが多いです。

熊本、愛知、北海道などから売れていきます。

日本全国で瓦礫処理をすれば、全国に放射性物質をばら撒くことになり、放射性物質に食品が汚染されることになり、国産の食べ物は、安心して食べられるものは、ひとつもなくなってしまいます。

福島原発から未だ放射性物質がバラかれているなか、福島などで野菜や米、果物を作らせる農協にも、国にも、地方自治体にも、また、作る農家も神経を疑いたくなります。

本当に安全だと思っているのかと問いたいです。

いままで、原発を誘致し、原発マネーを受けとってきたはずの自治体の長が一方的な被害者の顔をするのは違和感があります。

騙されただの、危険だとは思わなかっただのという発言は、どう考えても、おかしいです。

医療費を無料にしろ、補償金を払えと福島県知事は息巻いていますが、福島県知事は原発推進派です。

原発マネーを貰うだけもらい、事故が起これば、騙されたとは虫がよすぎると思います。

チェルノブイリとは規模が違うのかもしれませんが、チェルノブイリはまだ立ち入りを禁じています。

マスコミをはじめ、除染しろ、償え、元どおりにしろという世論扇動が行われていますが、除染しきれるのか、未だ放射性物質がバラかれているなか、何度も何度も除染が必要な土地の警戒区域を解除してもいいのか、除染をする方針でいくとして、今、除染し、戻る時期なのか疑問が残ります。

福島原発事故のあとに、原発推進派の町長が当選した自治体がありましたが、推進した自治体長の責任は有耶無耶にするべきではないし、原発マネーを享受する住民も、安全な施設ではないことを自覚し、判断するべきだと思います。

あまい話には裏がある、原発はまさにそれではないでしょうか?

自民党も原発を国策として推進してきた責任を有耶無耶にし、民主党や菅直人を責めてばかりいますが、推進した責任は、杜撰な安全基準で、原発を乱立させた責任は大きいと思います。

この国には、まともな政治家っているのでしょうか?

橋下さんにしても、TPP のメリットしか語らない、二院制の廃止など、疑問に思う発言が多々あります。

くるもの拒まずの維新塾も、第二の杉村大蔵を生み出すだけではないかと、訝りたくなってしまいます。

吉田茂や岸信介ような政治家は、もう日本には出てこないのでしょうか?
by (2012-02-15 02:31) 

古井戸

花さん、最後の一行は大疑問だが(吉田&岸)、後はおおむね賛成。

福島の首長は原発推進させ、ニッポンを汚染まみれにした責任を感じるべきです。危険であるから交付金焼麩を受けていたのでしょう。双葉町長にいたっては町財政を破綻させ、依頼されもしないのに原子炉の増設を東電に要求した。
事故が起きるとだまされた~、と国や東電を非難している。瓦礫保管設備の設置も拒否している。唾棄すべき存在です。

各地の行政が瓦礫処理をやる!と言い出したのはなぜだろうか?交付金ねらいか、失業対策か。

汚染瓦礫を福島から関西にトラック(船?)で移動し、濃縮汚染物をまた福島にもどす。。これは、馬鹿丸出しの戯言(海外で馬鹿扱いされるだろう。真面目に議論するのは放射能で脳がいかれた日本人だけでしょう)。

それほど福島に支援したいなら、カネと人だけ供出して、福島に焼却炉(これは既存のものは使えない、どのみち新設しなければならない)を建設し、大阪焼却炉、京都焼却炉、神奈川焼却炉、東京焼却炉。。。と建物に刻印しておけばよろしい。

福島の原発立地町長や議員、福島県知事は春になったら、日本の原発立地県市町村を巡って、反原発、脱原発を訴えるべきです。せめてもの罪滅ぼしです。日本と世界に対しての。





by 古井戸 (2012-02-15 07:21) 

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