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残菊に [diary]

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毎年毎年、歩道脇の、同じ場所に菊が咲き、冬になっても華をつけ、越冬する。まるで年中咲いているかのようだ。

わたくしは、毎年毎年この時期になると、足を止め、じっと見つめ、写真を撮り、愛でてやる。

ことしは、数本切り取って机上に飾った。ドライフラワーのようなもんだからいつまでも、この姿をとどめているだろう。花瓶の菊をよく観察すれば、花の数を上回る数の、大小の蕾を抱え込んでいる。花弁にはお供してきたらしい小さな蜘蛛が動き回っていた。

つまらぬ句をつくってみた。

残菊や年越すものはつよかりき
残菊や過ぎる時間を指先に


残菊を切りて机上に飾るべし
残菊を悲運の我に重ぬべし
残菊は我が忌日にこそふさわしき
残菊の葉と茎と根と花弁と

残菊はうつくし妻に手向けるべし
残菊の西日にこたえて白銀に
残菊は見たり女の涙すを

残菊ぞ蒼き月夜にしずくする
残菊を見下しひとの通り過ぎ
残菊に気づかざることこの一年
残菊は爽やかなりし朝日浴ぶ

残菊を腐臭の街から護るべし
残菊を揺らすものなにもなかるべし
残菊はものいわぬなり復活祭

残菊の孤立無援の生を終う


残菊111227_0827~01.jpg

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