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投函したら投獄よ    中央線沿線<公民教育>事情 [Ethics]

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7月3日毎日新聞(ネット版)に次のような記事が掲載された(現在削除されている)。

<議会報告>集合ポストに入れた国分寺市議、書類送検

##記事引用
 東京都国分寺市の幸野統(こうのおさむ)市議(27)が、所属する共産党市議団の「市議会報告」を集合ポストに投函(とうかん)するため市内のマンションに立ち入ったとして、警視庁小金井署が住居侵入容疑で東京地検八王子支部に書類送検していたことが分かった。集合ポストはオートロックの扉の外側だった。

 調べでは、幸野市議は5月18日午後5時ごろ、同市本多1のマンション1階玄関にある集合ポストに市議会報告を配布するため、無許可でマンション敷地に侵入した疑い。集合ポストそばには、関係者以外の立ち入りを禁じる張り紙があった。

 幸野市議は投函中に住民の一人から「無許可だ」などと注意を受け、一緒に近くの交番へ行った。マンションの管理組合が5月22日付で被害届を出したのを受け、6月9日に書類送検した。

 幸野市議は「オートロック外側の誰でも立ち入れる場所で、理解できない。市民の知る権利の侵害にもつながる」と、不起訴処分を求めている。

 ビラ配布をめぐっては、東京都立川市の防衛庁(当時)官舎で自衛隊イラク派遣反対のビラを各戸の玄関ドア新聞受けに投函した市民団体メンバーが住居侵入罪で逮捕・起訴され、4月に最高裁で有罪が確定している。しかし、オートロックの扉の外にある集合ポストに投函した場合の判断は明示していない ##


本日(7/21)、毎日新聞の26面<メディア>欄に、
議会報告ビラ投函で書類送検に波紋  - 住居侵入か表現の自由か-
という見出しで特集記事が掲載されている。

事件の発端は次のようなことらしい。やりとりを本日の毎日新聞から引用:

5月18日午後5時ごろ、JR国分寺駅近くにあるマンション入り口のオートロック扉の外側でトラブルは起きた。集合ポストにビラを投函中の幸野統(こうのおさむ)国分寺市議(共産)は帰宅した住民と鉢合わせした。
「何やってるんだ」
  「党の市議会報告をくばっています」
「ビラ配布禁止、関係者以外立ち入り禁止と張り紙があるだろう」
   「市議会議員として市民にお知らせする義務があります」
「必要ないと住民が明記しているのだから配る権利はない」
(注) <帰宅した住民と鉢合わせ>。。この住民とは誰であろうか。このヤリトリから推測すると、マンションが雇っていた用心棒と推測される。

被害届を出したのはこのマンションに暮らす大家の新海栄一市議である。毎日の特集記事に新海栄一議員と、書類送検された幸野統市議、双方の言い分が掲載されているので全文掲載する。

被害届を出した 新海栄一市議 <自由にも限度がある
  
  「表現の自由にも限度がある。幸野市議は「立ち入り禁止」の張り紙を認識しており、住居侵入に当たるだろう。被害届を出すことで、自身や同僚議員の活動を制限すると思ったが、住人の強い希望を受け、管理責任者としてやむなく提出した。
  同じ議員の立場からすると、立ち入り禁止とあっても、気にはしながら配ってしまうのは分かる。このマンションにも自民党の都議や国会議員のチラシは入っている。だが、捕まったらその人の責任だ。立ち入り禁止は住民の総意で決めたことで、市民が嫌がることを議員がするわけにはいかない。幸野市議は配るのは当然の権利だという姿勢を改めてほしい。
  さらに今回のビラの内容も議会報告というより、党の意見が多いような気がする。それでは住民の理解を得られないのではないか。今後、私の活動報告のビラ配りに対する市民の目は厳しくなるだろう。これまでもトラブルを考え集合住宅には配っていないが、その決まりを徹底する。」

新海市議のこの意見は12個の文章から成り立っている。その12の文章すべてが笑えるという、珍重すべきものである。とりわけ傑作な箇所を赤字にしておいた。 <だが捕まったらその人の責任だ> <今回のビラの内容も議会報告というより、党の意見が多いような気がする。それでは住民の理解を得られないのではないか> の箇所にはのけぞってしまった。

つぎに 書類送検された幸野統議員の発言<まさか犯罪扱いとは
 「新聞やテレビは通常、市議会の詳細な議論まで報道しないから、ビラは議論の経過を簡単に伝えられる手段の一つだ。住民税を払っている市民にとって、市議会は身近な国会に当たる。ビラは議題や各議員の主張を知るために必要不可欠な情報ではないか。
  管理組合が一律にビラ配布を禁止し、それが犯罪になるのなら、議員としての表現活動だけでなく、市民の知る権利も大きく制限されてしまう。しかも今回の配布場所はオートロックの外側でも立ち入れる集合ポストだった。「関係者以外立ち入り禁止」という張り紙は目に入っていた。しかし、市民に市議会での活動を報告する立場にあり、自分自身は「関係者」だと考えている。
  もちろん、住民はビラを受け取らない自由、読まない自由もある。だから住民に強くやめろと言われたら「はいやめます」と答え、そこで終わる話だ。警察に行ったときも事情を説明しているという認識で、まさか犯罪として扱われるとは思ってもみなかった」

公党の議員や党自身がおのれの見解や、党活動、党の政策を訴えるのは(非・支持者に対してもl、だ)、義務であり、権利である。マンション住民にこれを拒否する自由はない、のである。議員が広報活動のために自宅のポストや、まして、公的領域への立ち入るのは当然のことであり、これを禁じる張り紙や決定は一切無効と心得るべきである。<立ち入り禁止>の立て札やビラを貼り付けたものに対し、議員活動妨害罪で 被害届を出すべきなのである。

こういうオメデタイ住民やそれにノッカル議員がでてくるのは、小学区中学校でしっかり<公民>教育がなされていないためであろう。公民には、<議員活動、党活動を妨害する自由は>ないのである。不動産やサラ金、援助交際宣伝ビラ、と、市の広報や公党活動ビラの区別もできないようである。

幸野議員は、
住民はビラを受け取らない自由、読まない自由もある。だから住民に強くやめろと言われたら「はいやめます」と答え、そこで終わる話だ。。。 と言っているが、読まないのは自由であり、<手に>受け取らない自由(廃棄する自由)はあるが、
     ポストに投函するのを拒否する自由はない
のである。ポストは公的領域に属するのである。これが自由に拒否できるのなら、選挙演説でガアガア、スピーカからしゃべりまくったり、TVやラジオで行う個人演説、はどうなるのか。チャネルを変えて聴かない自由はある。これは、ビラを破いて捨てる自由があるのと同じこと。電波を飛ばすな!とはいえないんである。

幸野市議の送検後、弁護士らでつくる自由法曹団東京支部(文京区)は国分寺市議会に不起訴を求めるよう文書で要請し「今回のビラ配布が犯罪なら、議員活動に大変な障害となる。党派にかかわらず議員全体の問題だ」と、訴えた、と、毎日新聞は報じている。当たり前のことである。


ビラ配布を巡って、立川市の防衛庁(当時)官舎で04年1月に自衛隊イラク派遣反対のビラを各戸の玄関ドア新聞受けに投函した市民団体メンバ3人が後に住居侵入罪で逮捕・起訴された。一審の東京地裁八王子支部は無罪を言い渡したが、東京高裁では有罪。今年4月に最高裁で有罪が確定した。
  最高裁判決は「表現の自由も無制限ではなく、公共の福祉のために必要かつ合理的な制限を受ける」と指摘したうえで、「管理者の意志に反して官舎に立ち入るのは、住民の私生活の平穏を害する」と結論づけた。

 最高裁がパアプウな判決を連発しているのはすでに有名であるが、これもお笑い判決。

今回の国分寺の事例に即して言えば
「住民の私生活の平穏を守る自由は無制限ではなく、公共の福祉のために必要かつ合理的な制限を受ける」
「マンションの公的領域に立ち入りビラ配布を拒絶する行為は、公民の福祉と権利を侵害し、議員と公党の活動への妨害である」
と、結論すべきである。

国分寺のこの事件は立川事件よりもっとひどい、政治活動に対する妨害、言論表現にたいする妨害事件。訴訟になったら大恥をかくことがわかって、被害届を出した議員もコッソリと取り下げたのだろう。被害届の内容をみた警察が、あんたね、議員の広報ビラは民主主義国の住民ならシュクシュク、と、受け取る義務があるんだよ、被害をもたらしている張本人はあんたなのよ!と、コンコンと諭すべきなのである。脳が溶けている住民の多い中央線沿線では無理かな。

 マンション住民の被害届をハイハイ、と受理する警察にも公民教育が必要だろう。最高裁判事にも。外国には知られたくないニュースである。ニッポンの恥。

080721_1033~01.JPG パアプウ警告の見本
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コメント 1

正義の悪漢

最近、仲々、更新されませんね。
お忙しいのだとは思いますが、楽しみにして読ませていただいているので、もっと頻繁に更新してください。

最近の扉絵は、マウスで描いているのですか。
なんだか、前衛書道みたいですね。
by 正義の悪漢 (2008-08-05 09:10) 

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