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国破レテ [Ethics]


派遣社員の労働環境は悪化の一途を辿っている。
これは日本の危機である。
  クローズアップ現代@NHK、3/20、の報じるところによると、

大手企業は正社員の派遣社員化を推し進めている。
 派遣社員化、ということは:

1 トータルの労務費削減、派遣社員の低賃金により。
2 各種手当ての削減。派遣社員の生活環境の劣悪
3 会社は<分割統治>方式により労働者を正社員VS派遣社員に分断する
    団結させない。
4 仕事は1ヶ月単位の契約。しかも、契約は会社と派遣会社の間でなされる。
    派遣社員と会社は契約関係にない、したがって会社は派遣社員との団体交渉も認めない

熊沢誠(労働問題研究者)は、派遣社員という便利な構造(安い賃金、年金など付加手当なし、短期の契約=いつでもクビを切れる)を会社はなかなか手放そうとしない、といい、派遣社員による組合結成の動きを新しい動きと歓迎しているが、上記のようにこれは、
   待遇悪化を危惧する正社員 対 同一労働同一賃金を求める派遣社員
という対立構造を産み出し(ぶんどり合戦)、会社は陰に陽に、この対立を利用した待遇・賃金制度を繰り出してくる。

番組に登場した派遣労働者の例。広島電鉄の労働者は正社員とまったく同一の安全基準のもとで勤務しているにもかかわらず年間200万円の所得差が正社員との間につけられ、転職を真剣に考えている(いまよりよい転職先も簡単に見つからない)。正社員で構成される労組も、今年になってやっと、このままでは正社員の現在の地位も危ない(派遣社員の多くが会社を去る、あるいは勤労意欲を無くすれば、会社自体の存亡にかかわる)、したがって、派遣労働者との待遇同一(派遣社員の賃上げ)を会社との交渉にもちこんだ。
もう一つの例。自転車配達業の派遣社員。自転車で転倒し、骨折。医療にかかわる保険や、治療費は派遣社員の自前。1ヶ月仕事を休み、この間の給与はゼロ。医者からはあと1ヶ月の安静治療を薦められる。預金を切り崩しての生活。同僚は、ついに組合を結成することを決意。HPにその旨を掲示すると、未知の派遣社員から参加したい、旨のメールが早速寄せられた。会社に対し保険費用を会社負担とするよう交渉を依頼したが、直接の契約を派遣会社と結んでいるとして会社はこの新労組との交渉は拒否、と、faxで連絡する。

 派遣会社と雇用会社の垣根を越えた派遣社員同士の連帯化(組合結成)の動きはあるが、低賃金(活動資金不足)と 契約関係(派遣会社と雇用会社の契約関係がない)の問題により、先に進めない。

派遣社員はこのままでは枯渇するばかりである。少子化問題など解決するわけもない。少子化そのものが問題なのではない。 貧困が問題なのだ。文化的な生活が営めないことが問題なのである。 
       いったい、なんのために俺たち私たちはこの地上に生まれてきたのか?
こういう疑問をいだく国民が発生しないか?存在していないか?
もはや、これは、国ではない。

どうすればいいか?問題は格差ではなく、貧困である。
余裕のある者が貧困なものを助ける以外にない。非正規社員の存在とその劣悪な環境は、彼ら自らの責任ではない。この状態を放置しておくことはできない。

厚生労働省がまったく存在価値のない官庁になり果て、国会議員はおのれの利権を守るだけ、この問題を解決しようともしない。若い派遣社員が、考えたすえ組合を結成することを思いついた。これを、画期的な事態と評価するだけでイイのか?熊沢誠名誉教授、といいたいね。ニッポンの将来を担う二十代、三十代の、苦しんでいる労働者に誰もアドヴァイスしないのだろうか? 涙が出る、というしかないね。ナサケナや。

派遣社員の自殺的破壊行動を待つのみ、でよいのか?自由化?自己決定?なんのことはない、19世紀の未組織賃労働者=プロレタリアート、が歩んだのと同じ道を再び歩んでいるだけではないか。

団塊の世代、を問題視しているが、この膨大な数の非正規労働者の数は将来、重いくびきとなるこれは明白なのに何の手も打たない政策決定者達。すくなくともこいつらを、愛国者とは呼ぶまい。

戦争さえなければ、戦前のニッポンの農民のくらしのほうがよほど安定し、豊かではなかったか、とふと、もはや、望んでも訪れぬ日々を夢想するのである。

 国破レテ、山河アリ。。

関連記事:
時には母の無い子のように
http://blog.so-net.ne.jp/furuido/2006-04-24
フリーター漂流
http://blog.so-net.ne.jp/furuido/2006-05-12


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コメント 5

古井戸さん こんばんは お久しぶりです。
私の周囲にも派遣社員として働いている人が多いのですが、
皆、貧困の上、不安定な雇用状態に不安を感じているようです。

私は正社員ですが、土木業界大氷河期で激安基本給にボーナスも無し。(勤めていた会社の倒産を2度経験しました)
技術職(道路設計)なので残業代は無制限に出るけど、最近は残業するほど仕事が無いです。といっても月50時間くらいは残業します。(それでやっと生活できるレベルの給料です)
それでも今の会社を辞めて正社員として再就職できなくて派遣に転向するよりはいいと思い、今の会社に留まっています。

同じ貧困なら正社員でいた方が絶対いいに決まってる。って思うし。

今のままだと、老後がとても不安です。
ってか、病気が再発したらもうアウトかな?って感じですが。。。

黙っていようと思ってたけど、ついついコメントしてしまいました(笑)
by (2007-03-21 00:11) 

古井戸

> 皆、貧困の上、不安定な雇用状態に不安を感じているようです。

これを、人ごとだと殆どの人間が思っているのですね。
この不安感の集積を、折り込んで、大銀行大企業は、なんとか景気だ、と歓んでいるのだから、真っ当な社会じゃない。
(自殺したいひとが多くいても全く不思議ではない)。

覚り、でもえて、すぅい、と世界から消えたい、と、夢想することあり。
by 古井戸 (2007-03-22 02:32) 

すずめ

「すぅい、と世界から消えたい、と」 気持ちはよく分かる。
そのとき 世界もすぅいと消えるはず。。

自分だけがすぅいと消えるのは腹立たしい、と考えるのは 煩悩まみれってことだよね。そうゆ~奴は 消えちゃなんねぇ。。

だからσ(^^)は 消えずに残っている。世界もσ(^^)も一蓮托生、一気に消し去ると自惚れ得たら 死ねるかも。。
by すずめ (2007-03-28 22:21) 

古井戸

うん。
自分が消えれば、世界も消える、と考えている。
生きているうちは、家族のことなど、死んだ後のことが気になるが、死ぬ前後には、もう、勝手にしてクレイ、。。となるんじゃなかろうか。
σ(^^)さんのシヤワセを祈っています。
by 古井戸 (2007-03-28 22:50) 

Jacky

応援しています。
右翼には負けていられません。

共に頑張りましょう。
by Jacky (2007-04-11 22:43) 

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