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「公」考   寺島実郎の団塊論 [Politics]

                                                                  

4/4朝日新聞夕刊。思潮21 「団塊の世代へ」

寺島実郎が、団塊の世代をシッタ激励している。
 いわく、 老成を気取る前に 「平和」「公」自問を。

寺島の団塊世代認識:
1 団塊の世代が身につけたのは「他人に干渉されたくも、したくもない」という程度の私生活重視のライフスタイルのようなものだった。

2 ミーイズムの裏側で、私生活を越えた時代とか、社会の抱える不条理に対する問題意識は刻々と希薄化しており、ここに課題を残す。

3 われわれ(団塊の世代)は、独立国に外国の軍隊が長期に駐留し続けていることは不自然なことだ、という常識さえ見失いつつある。

ここまではよかろう(異論はあるが、我慢しよう、という意味ね)。問題は次だ。

「団塊の世代に問われるのは「新しい公共」への思想軸である。我々の世代は「公」というコトバが嫌いだった。「滅私奉公」といわれた時代を思い出したくないために、全体による個への抑圧を拒否した。今日でも「官から公へ」などとして官から民の二元論でことが運ばれがちだが、官と民との間には「公(パブリック)」という概念が存在する。いかなる社会でも、誰かが公的目的性の高い分野を支えて、利害損得を超えて汗を流すことをしなければ、社会システムは安定しない」

たいそう、わかりにくい議論をしている。なにがそうしているのか?
まず、寺島には、官とはなにかが、わかっていない(つまり民をもわかっていない)。つまり、官とは政府官僚のことであり、官は民に仕えるものである、ことを理解していない。滅私奉公、とは民主主義以前の概念であることを理解していない。公、とは、民、のことであり、断じて官のことを行っているのではない。これをしっかり抑えていないから自分でも何を言っているかおそらく寺島にはわからないだろう。

滅私奉公、というコトバは、近代以前、すなわち 国民主権、民主主義を国の前提とする時代以前に発生したコトバであり、お殿様が奴隷同然の農民等に、時代性を帯びた「民」の心得を示している「歴史遺産」的言語なのである。なにも、敗戦直後のハッピーカムカムやりまくり時代に生まれたベビーブーマー世代<団塊>だけに限らず、近代の市民がこんな 時代錯誤の標語に嫌悪感を示すのは、 あったり前田のクラッカーなのだ。 (公、の意味ががらり変わったのだよ。あるいは、滅私奉公->滅公奉私。まあ、革命が起こった(革命 by GHQ)のは1945年から数年の間のことだから、団塊代表寺島などに浸透していないのも無理ないか)

では、「官から民へ」という標語は、どういう意味なのか。どういう意味にとらえればいいのか?

官(僚の不合理かつ前近代的な組織運営)から

(官僚や政治屋の利権を許すことのない近代的な運営方法による国)民へ、

管理経営の主体を移管することなのだ。官とは上記のように、民に奉仕する官、なのだ。これを民(官)とあらわせば、官から民へ、は 民(官)から 民へ、なのである。

寺島は、官と民の二元論などと言っているが、もちろん、近代ではこんな区分はナンセンスなのであり、民一元論、が近代の民主主義精神なのである。 当然ながら、

            官と民の間には「公(パブリック)」という概念が存在する

などという、サンドイッチのオカズ(ハムと野菜のことよ)、みたいなお馬鹿な概念など存在するわけがない。「公」概念は 民に奉仕する、あるいは民が公に命令する、という形式としてのみ理解しておかないでおいて、沖縄や岩国で起こっている90%以上が基地設置に反対しているのに基地を強引に移設しようとするとんでもない事態を突破する論理を、どうやったら構築できるというのか。

 官と民の間には、官 --奉仕--> 民、という関係しかないのだ。 すなわち、公=民、ということ。
これをしっかり脳みそに焼き付けた後で、  思潮 してちょーだいね。

いまだに、戦争直後の敗戦国体制を引きずるニッポンの問題を解決しなければならない、という大きな課題を、団塊の世代<だけ>の問題、という世代論に収斂してどうするか。

「財団法人 日本総合研究所会長」たる 寺島実郎、より、 「芸人」永六輔のほうが、はるかに近代を理解していることがわかった(別の記事、9&99を参照して欲しい)、というお粗末な一席、これにて!

                       <幕>
ちょん!


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