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検察スポークスマン  立花隆 [Journalism]

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おくればせながら、4月1日朝日新聞のオピニオン「小沢対検察」を図書館でコピーしてきて読んだ。このオピニオンは4月から新設されたらしい。紙面の1頁全面を使って、立花隆の寄稿と、検察出身の宗像紀夫の意見に当てている。

立花隆は、見出しにあるように、
「民主代表のまま裁判を続けるのか 師から何を学んだ」
と、小沢に対し説教を喰らわせている。

ロッキード事件担当の堀田元検事も、最近、検察出身の郷原氏と討論し、田中を追い落とした自己を弁護し、検察に説明責任などない!と豪語している。立花と堀田は30年前の事件から何を学んだのか。


立花は次のように言う:
「。。検察は、まだ明らかにしていない「悪質性」の説明を法廷でどんどん出していくと予言している。するとどうなるか。小沢政権が実現したとして、「総理大臣の悪質性」が毎週毎週、法廷で暴かれていくことになる。そうなったら、国内外に山積している、あらゆる政治的問題、経済問題、外交問題、社会問題そっちのけで、マスコミは「総理大臣の政治献金問題の悪質性」の具体的説明をめぐって、ああでもないこうでもないのニュースのオンパレードになる。
              ■
そういうことはあってはならないことである。。」


そういうこと、とはどういうことか?
<あってはならないこと>、とは、
<なにひとつ証拠もないのに秘書を逮捕し(しかも、政治資金規制法という微罪)、長期にわたって拘束しながら起訴もできない検察が、なんの説明を国民や被告側にたいしておこなわず、小沢を政界から追い落とした後、法廷でその「悪質性」を暴くという、日本検察お得意の人質裁判という方法>
ではないのか?

そうではなく、「オピニオン欄」で立花が言っていることは、田中角栄はロッキード事件で徹底的に検察と闘うと決意し、公判と総理職は並立しない、として起訴された当日、離党届けを出した。この田中角栄に学べ、というのである。

 小沢と田中では立場が違うではないか。小沢の場合、秘書が起訴されたのは、政治資金規制法という微罪である。それに、田中角栄は党を離れても<院政>(日本の伝統)をやって自民党と日本の政治を支配できるという確信があった(事実、今日まで金権政治が生きのびている)。小沢は民主党党首を辞めればただのオッチャン、である。

政治資金規制法で秘書が拘束されたくらいで、政治家が辞めていては政治家の頭はいくつあっても足りない。

立花は、検察に説明責任をもとめず、逮捕拘束された秘書側に説明責任をもとめている。あきれてものがいえない。これでは、志布志事件で逮捕された被告、多数の冤罪を排出している痴漢事件と全く同じ構造である。やっていない、と言っている容疑者に、<無罪の証明>などできるわけもないし、する必要もないではないか。

朝日新聞のオピニオン欄の同じ紙面で検察出身の宗像紀夫(現在は弁護士、中央大学法科大学院教授)が、今回の捜査は手法も着手時期も問題が多い、と述べ、「このままでは日本は検察国家になる」、と警告を発している。検察出身者が、検察の国策捜査を憂い、ジャーナリストが検察スポークスマンになりさがっている現状。(しかし、この宗像が特捜部長として指揮をとったゼネコン汚職事件では、取り調べの最中に検事が参考人に暴行を働き、特別公務員暴行陵虐罪に問われる事件が発生している。近年の検察捜査では、横暴な取り調べが蔓延しているばかりか、被疑者や参考人の弱みにつけ込むかのような脅迫や恫喝による司法取引まがいの手口までが横行している。青木理『国策捜査』2008)。 国際的に批判されている前近代的な取り調べ手法~「自白の強要」「調書裁判」「代用監獄」「人質司法」を日本の警察・検察は、裁判所とつるんでいまでも常習的に行っているが、宗像を初め検察出身者はこれを批判してはいない。立花はジャーナリストとして、この悪弊を批判したことがあるのか?

小沢民主党が政策綱領に掲げた。。

1 官僚主導による政治の終焉
2 裁判員制度の見直し(廃止)
3 警察・検察の取り調べの可視化

と、今回の国策捜査の関連を、立花はまったく問おうとしない。

小沢民主党の支持者の何割が小沢を支持しているのか?ごく少数である。少数であっても政策に期待して民主党を支持したのである。民主党が政権を取った後、その政権が長期に継続するなどと誰も思ってはいまい。小沢が総理としてふさわしい人物でないのは誰でも知っている。そうであっても、政権を交代して上記の3政策を実施に移す(大きな抵抗に遭ったとしても、それにより日本の現実が鮮明に見えてくる(真の抵抗勢力はだれか)のである。

立花隆「結局、この問題は、何よりもまず小沢の個人的問題なのだから、小沢は田中角栄にならって、「党に迷惑をかけない」を第一の行動の原則にすべきである」

しかし、小沢がどのような法律に違反しているのだ?これはちっとも明らかにされていないのだ。「あるぞ、あるぞ、いっぱいあるぞ~」という検査の垂れ流し情報を小沢は検察スポークスマンとして垂れ流しているだけである。会社に、党に、迷惑を掛けないために妥協して、やってもいない罪を認める。これは、痴漢冤罪などでやってもいない容疑者が警察や検察の<取引>に応じるという典型的な<人質司法>である。

立花のやるべき事は、検察スポークスマンになって容疑者を苦しめ検察の違法捜査を助けることではなく、<人質司法>から容疑者を守る仕組みをつくることではないか?取り調べの可視化は、もちろん、違法捜査が発覚したら担当検察とその上部の責任を問う仕組み、会社や政治の業務を続行しながら裁判活動を行えるような仕組みをつくることではないか。いまのままでは容疑者は泣き寝入りである。 かりに小沢が辞任したら検察の何が変わるのか?何も変わらない。この<人質捜査>が永久に続くことになる。


3月27日の民主党代議士会で、小宮山洋子が「問題の重要性はわかるし、小沢にはしっかり闘ってもらいたいと思うものの、それは代表という立場から離れてやって欲しい」と婉曲に辞任を求めた。立花隆は「これが裁判闘争をめぐって出された唯一の正論らしい正論だった。小宮山の父は、日本の民法の最大の大家、元東大総長の加藤一郎である。さすが、これからの法律的展開とその政治への影響をちゃんとにらんでの発言と感心した」 と述べている。

あきれてものがいえない。小宮山や立花は<推定無罪>という原則を知っているのか。検察からかけられた嫌疑(企業への利益誘導?)が存在する、という疑いが立花や小宮山の立論の前提にある。ならば、検察が捜査する前に、辞職しろ!とせまるべきであったのだ。検察の尻馬に乗って容疑者を追放するようでは人間の度量が知れる、というもの。こんなところで、民法の<最大の大家>とおだてられては加藤一郎も迷惑だろう。おれだって、<推定無罪>の原則くらい知ってるよ、というのではないか。加藤一郎は、70年の東大全共闘闘争で、安田講堂に機動隊導入を求め、闘争を<収拾した男>である。小宮山や立花は、たかだか事態を<収拾>したいだけ(小沢に対しても収拾しろ、としか言っていない)、その代償は余りに大きい。

立花隆も、反省と自覚のないロッキード事件担当元検事=堀田、だけでなく、国策捜査に懸念を示す宗像などの意見をジックシと拝聴すべきではないか。


かりに小沢が政権をとっても早晩退場することになるだろう、とは民主党支持者とて予想しているだろう。だからといって、いま、党首辞任しろというはなしにはならない。民主党jが政策に掲げた、警察・検察取り調べの可視化、官僚政治の終焉、は日本を変える長期的課題である。これを必ず実行するために小沢よ涙を呑んで辞めろ、と、立花隆がいうならわかる(しかし、立花はそう考えていないようだ)。検察の取り調べが可視化されていれば、今回の捜査はなかったろう、ということ。宗像氏は、民主党の取り調べ可視化に賛成か?おそらく反対だろう。この点では立花と一致するはず。悪いヤツはしょっ引けという前近代的発想なのである(堀田元検事も同じ)。




関連記事:
暗黒裁判の国、日本。 『公認会計士vs特捜検察』 細野祐二
http://furuido.blog.so-net.ne.jp/2007-12-09


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コメント 4

eaglei

おはようございます 古井戸さん
度々の訪問、ありがとうございます。
意見は違いますが、同じところに関心があるようですね。

さて、
「小沢がどのような法律に違反しているのだ?」
と書かれていますが、明確にあります。
政治資金を使って、自分の不動産資産にしていることです。
これは明確に法律で禁止されていることですね。
検察がそのことを踏み込まないことが不思議です。
その額、なんと10億円にも及びます。
政党助成金という血税がなんと、小沢氏の個人資産になっているのです。
このことをどう思いますか?

そのことを僕は記事に書きました。
http://eagleai.exblog.jp/10605466/
読んでみて下さい。
by eaglei (2009-04-26 08:29) 

古井戸

>検察がそのことを踏み込まないことが不思議です。
>政治資金を使って、自分の不動産資産にしていることです。

これはすでに、昨年問題になり、小沢は有罪を認めているでしょう?控訴していません。それと今回の逮捕がどう関連しますか。

今回は秘書が逮捕され、罪名も、帳簿不記載です。つまり、別件逮捕をヤッテいるのです。

かりに秘書でなく、小沢が逮捕されても、容疑者ですよ。罪を認めていないのに政治から、みを引け、というシステムがオカシイのです。

政治でなく、痴漢冤罪は日常茶飯的におこっています。
私は、立花やあなたのように 小沢個人を問題にしているのではないのです。検察社会、官僚社会を変えようとしているのです。これは数年のはなしではなく数十年~100年の計です。

そのチャンスを政権交代によって実現しようとしていた矢先、官僚、旧勢力がこれをねじ伏せた、と私はみています。霞ヶ関が大喜びするはずです。

田中角栄の首を検察に差し出して、自民党の金権政治が生きのびたと同じように、小沢を差し出して、反官僚、反検察国家を民主党が実現できなければ、それが民主党の実力、とあきらめればよい。
by 古井戸 (2009-04-26 09:22) 

古井戸

岩井@毎日新聞がブログでこういっている:
http://www.the-journal.jp/contents/kishii/2009/04/post_61.html
気になるのは、なぜこの時期にやったのかを問われた検察サイドが、しきりに「看過し得ない重大悪質な事案」と言っていることで、ここに小沢サイドとの認識の違いがズレがある。今までの政界ではこういった政治資規正法上の間違い、例え虚偽記載にしろ、金額から言っても強制捜査でいきなり逮捕というのは、まず考えられないことだったからである。

このことについて一点重要なのが、小沢は政界でも知られ、かつての検察や政治資金規正法を担当していた元自治省(現・総務省)もみんな口を揃えて言うのが、小沢は政治と金の法律に関してはプロ中のプロで、政界に右に出るものはいないということだ。実際に小沢周辺からは何でそんなに臆病なくらい慎重なんだという声が聞こえるほどその処理の仕方、報告の仕方というのは極めて着実にやっているように見られていた。それをなぜ今回、強制捜査したかというところに、捜査の焦点が見えてくる。

検察サイドの言う「重大悪質な事案」というのは、小沢が自信を持てば持つほど、それだけ法律の裏までに通じている人が、なんと言うやり方をするんだ、違法なことは分かっているんでしょう、分かっていてそれを知らなかったような顔をして、こういうシステムを作ったんでしょうということだろう。

そしてこれを許せば、政治資金規正法上、個人に対する企業・団体献金をいくら禁止したって意味が無いから、検察としてはこれを見逃すわけにはいかないという意図なのだろう。これは推測だが、今回の事案でここまでやる、それも公判でやるということは、これ以外になかなか考えにくい。
##

しかし、<政治資金規正法上、個人に対する企業・団体献金をいくら禁止したって意味が無いから>、これを改めさせるために、逮捕という特権を使用する、というのは文字どおり<国策捜査>でなくてなんなのか。検察の胸先三寸で捜査権、逮捕権を行使するのでなく、事情聴取により注意を喚起するなり、行政の側から運用のチェックを厳しく行うなどの法改正を国民(議会)に提案すれば済む話である。
by 古井戸 (2009-04-26 09:51) 

reo**reo

公務員テロや宗教テロを逮捕せずに公務員テロや宗教テロと手を組んでいるように思える検察、検察がテロと思えるようです…。このまま進行すれば戦時中と同じくなります…。そこで私は訴えています。

知事が県民投票を実施し…、法律改正や新法を廃止し…、県民の多数決で県民が法律を作って行く…。そして、公務員テロを逮捕し…、特別裁判所・検察・警察を叩き潰し、県民の為の裁判所・検察・警察を新設し公務員テロ達や宗教テロ達を刑務所に収監し、蓄えた財産の没収とテロ達の親族からも財産没収すれば、日本の夜明けが来るでしょうね…。そうすれば県民の意思通りになります。皆で簡単に出来るということを広めましょうね…。



by reo**reo (2009-05-10 19:18) 

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