★先月27日、札幌市で開催された全国知事会の全国知事会議で、沖縄県知事・翁長雄志の要望を受け、また知事会が約2年前に設置した「全国知事会米軍基地負担に関する研究会」の結果に基づき日米地位協定の抜本改定を含む「米軍基地負担に関する提言」を全会一致で採択した。全国知事会が日米地位協定の改定を提言するのは初めてだ。

 ★米軍基地を持たない知事も賛成したことは大きく、沖縄県の問題だけでなく、全国で受け止める覚悟を知事会が採択したことは政府よりずっと頼もしい。過去、国会では散発的に質問が行われるものの、歴代の首相、外相、防衛相が積極的対応をしたことなどない。また刑事事件、事故の対応、低空飛行や夜間訓練、騒音、環境問題、基地移転・縮小など国内法に準ずる日米地位協定の改定議論はさまざまなチャンネルで求められてきたものの、大きな議題としてテーブルに上ったことはない。最近では米トランプ大統領をはじめ米国要人は横田基地から都内に入ることが増え、ますます国内法に関係せずに入国することも増えている。

 ★ただ、動きも出始めている。今年2月、公明党は沖縄県での米兵による事件や、相次ぐ米軍機トラブルを踏まえ、地位協定の運用改善ができるかどうかなどを検証する地位協定検討のチームを発足させ、党として取り組んでいくことを決めた。また、自民党元防衛相・石破茂も、今年4月、米カリフォルニア州スタンフォードで開かれた「第2回アジア太平洋地政経済学フォーラム」の基調講演で「日米で互いが負うべき義務の内容が全く異なる」と指摘。「義務が近くなるよう、日本も米国を防衛する立場を持つべきだ。日米安保を片務的なものから双務的なものに変えよう」と提言した。これは当然地位協定の見直しも含むというものだ。動くか、日米地位協定。