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Seven Brief Lessons on Physics by Carlo Rovelli [Language]



イタリア語はさっぱり分からぬが。。。さいわい英訳本、seven brief lessons on physicsがある。わずか80ページ、それも私のような高齢者に優しい、デカフォント。昨夜(深夜)、エアバイクを踏みながら読んだ。最終章「OURSELVES  われわれとはどういう存在か」から読みはじめたが、この章が一番おもしろい。インスピレーションに富む章である。現代物理学の最先端はわれわれ日常人の常識では理解できぬところが多い。つまり、量子物理の入門で語られる、粒子と波動の関係、とか、不確定性原理とか、さえ実感として納得できない。カルロが最終章で言うところは、人間という有限な存在が果たして宇宙を理解しうるのか、という問題である、と、私は理解した。 


人間は、地球がそのほんの一部である大宇宙を構成する成分と同じ元素を組み合わせてできあがっている、そして、我々人間を内部としてもつ宇宙を<内側から>観察している。。。。


70年前、ニールスボーアがその弟子ハイゼンベルグに語った言葉と通じる。不確定性原理など、理解される日が来るのでしょうか?と疑う若い弟子に、師は語りかける「なあに、君ら、心配には及ばないよ。そのときには、<理解する>という言葉の意味もあきらかにされるだろうよ」。著者カルロは、人間という有限な存在の理解力に希望を見いだすボーアの後裔である、とわたしは感じる。この点、宇宙の中には人間とおなじ高度の知能を有する生物がいるはず、と考えたCarl Sagan(同名である!)と似ているし、「自由とは法則(必然)の認識である」と150年前に述べたFriedlich Engels『自然の弁証法』の声も響く。カルロが、人間は大宇宙の中のちっぽけな存在であり、まもなく絶滅する存在であるが、意識の自由を有する、というとき哲学者パスカルの声を聴く。


空間は膨張し続け、時間は存在せず、物体の有無さえ定かで無い世界、しかもそういう宇宙と我々は同一である、とカルロ述べるとき、般若心経の色即是空空即是色、という文言がわたしのなかで鳴り響きわたる。


自然を詠ったギリシャ詩人ルクレチウスの詩篇を引用して締めくくられる感動的な講義であった。「。。我々はすべからく天空の原子から生まれた。地上の万物はみな父を同じくし、自然から生きる糧、水、果実。。をうける。。。」



目次
講義1 The most Beautiful of Theories 最高の理論、アインシュタインの一般相対性理論
講義2  Quonta  量子
講義3 The Architecuture of the Cosmos 宇宙の構造
講義4 Particles 粒子
講義5 Grains of Space 空間を構成するもの
講義6 Probability, Time and the Heat of Black Holes 確率、時間、ブラックホールの熱 
最終講義  In Closing: Ourselves 物理学における人間の位置

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