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伊東良徳弁護士(国会事故調、元調査委員)が読む、吉田調書 [東日本大震災]

原発問題(原発批判)ではもっとも信頼できる伊東弁護士の<吉田調書を読んで>という記事が投稿されている! (ダウンロード可能な吉田調書リンク先も示されている)
http://www.shomin-law.com/essayYoshidachosho.html

要点 (伊東弁護士により強調表示された部分をそのまま引用。前後の脈絡は上記の全文を当たって頂きたい)

1.「 この質問者の赤字で示した部分は、質問者が津波前の地震による破損はなかったと答えて欲しいことがありありと見え、地震による破損はなかったという方向に誘導する質問と評価できます。このヒアリングが行われた2011年7月22日は政府事故調の設置の決定から数えてもまだ2か月足らず、調査の初期であるにもかかわらず、もう津波前の地震による損傷は認めるまいという姿勢でヒアリングを行っているのです。
 このように、津波前の地震による損傷の有無に関しては、吉田所長はよくわからないと言うだけで、吉田調書からわかることは、政府事故調は調査の初期から地震による損傷はないという結論を希望してヒアリングを行っていたということくらいということになります。」

2。「また、事故の進行中、吉田所長が各号機の状況をあまり把握できていなかったということも注目しておきたいところです。1号機のIC(非常用復水器)がずっと作動していると思い込んでいたということについては、そのために1号機の対策が遅れたという問題がありますが、ICは本来電源を必要としない機器ですから、電源喪失しても作動していたと錯覚することも致し方ないかなとも思えます。
 しかし、電源がないのだから働くはずがないのにSGTS(非常用ガス処理装置)ないし空調が働いていたと思い込んでそのために水素爆発対策の必要性を考えなかったというのは、かなり問題視すべきところと思えます。」

3.  「このように電源喪失とか、メルトダウンという事態になってしまえば、現場は想定通りには動けないし、指揮官側も情報不足や勘違いで十分な対応を取れないということが、吉田調書から学ぶべき点だと思います。シビアアクシデント対策を運転員の操作に期待して安全審査を通して再稼働という原子力規制委員会の方向性は、福島原発事故と吉田調書から学んでいないものと、私には思えます。」

4.「 この時点(引用者注 2011年8月の聞き取り)では、東京電力の清水社長の言葉として、吉田所長の口から「撤退させてくれ」という表現が出ていますし、文脈がやや微妙ですが、東京電力本店がこの問題について本当のことを言っていないという示唆をしています。
 吉田所長は、2011年11月6日の聴取では「『撤退』みたいな言葉は、菅が言ったのか、誰が言ったか知りませんけれども、そんな言葉、使うわけがないですよ。」(2011年11月25日調書32ページ)と、供述を変えてしまうのですが。
 この点も、吉田所長がなぜ供述を変えたのかも含め、興味深いところです。」

5. 「津波対策と吉田調書
 吉田調書では、2011年11月30日調書の大部分と2011年8月8・9日聴取調書第3分冊16~27ページで、2007年4月から東京電力本店で原子力設備管理部長として吉田氏が、当時貞観津波の研究の進展に従って想定津波を大幅に引き上げるべきかという問題に対応した際のことが語られています。調書では土木学会が決めれば対応するというとはいいながら、費用の問題を指摘し、すぐにでもという問題ではないとか原子力発電所以外は対応を求められていないとか言って結局想定津波の大幅な引き上げはしなかったことを述べる吉田氏の姿は、事故時の対応を語るべらんめえ口調は影を潜め、役人のように見えます。聴取する側の政府事故調も、来る可能性が少ないのに巨額の資金をかけられませんよねぇと同調し納得する風情ですから、出来レースのように読めますけどね。
 事故時の対応から吉田所長を英雄視したがる風潮が強くありますが、津波対策の先送りに少なくとも一役買ったという側面はきちんと押さえておきたいところです。」

##以下、私見

朝日記者・木村英昭はなぜ、所員が所長命令にそむいて避難したか、せぬか、というつまらぬ問題に拘泥したのか。身体危険が及べば、社名にそむいてでも緊急避難するのは当たり前のことである(チェルノブイリ事故では、爆発直後のがれき処理を命令により実施して、一週間以内に数十人の軍人が即死に近い形で死んでいった。この二の舞をやらせたかったのか?)東電の撤退を許さない!という菅首相の馬鹿ぶりも際立つ。危害があれば撤退を認めるのが(東電)社長のつとめである(社長が撤退させたい、といったのはその意味で正しい。もちろん、所長命令にそむいて作業員が避難しようと、だれも責められない。そういう過酷ものなのである。原発とは。つまり、あってはならない設備である、ということ。会社・社員も放棄するような危険施設が地上にあっていいわけがない)。

朝日新聞連載「プロメテウスの罠」でも触れられている作業員や一般人の証言、津波が来る前に所内では放射能漏れ検知を報じるアラームが鳴っており、作業員がドンドン避難しており、家族にもその状況を伝えていた。。。この事実こそが最も重要なのであり、したがって、国会事故調・専門委員による建屋検査を東電が妨害し続けているのである。

聞き取り者(政府事故調)には誰が当たったのか?津波の前に配管事故がなかった、と(何も事情を把握できていない)吉田に言わせたい、政府事故調とはいったい何者なのか。津波で配管が壊れるわけもあるまいに。

民主党政府が、トンデモ調査委員長(畑村洋太郎=原子力ムラの一員、といっていいだろう。電力不足に陥っていいのか?!と恫喝まがいの言辞をまき散らし、再稼働ありきを持論とする<失敗>学者である)を選定したのが国民にとっては運の尽き。ドキュメンタリ「東電電話会議」をみればわかるとおり事故直後、吉田所長もパニックに陥っているのである。吉田所長にたいする聞き取りであるはずが、聴く側(政府事故調)の体質=予断が問わず語りに露出されている。これが無内容な吉田調書の数少ない読みどころか。

政府事故調 失敗学の失敗 http://furuido.blog.so-net.ne.jp/2011-12-27-1

吉田所長、電話会議抜粋 http://www.youtube.com/watch?v=SvhyhyKo7Ww


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