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トカトントン [Joke]

                             090617_2230~01.JPG


太宰治、生誕百年。
http://mainichi.jp/enta/book/news/20090614ddm015070003000c.html

作品の映画化も盛んらしい。ヴィヨンの妻が映画化されるようであるhttp://www.villon.jp/

ヴィヨンの妻@太宰治
http://www.aozora.gr.jp/cards/000035/files/2253_14908.html

太宰全集を引っ張り出して読んでみたが。。
どうも妻の一人語り、という形式が気に入らない。一人語りにするから妻が賢くなりすぎるのである。
 最後の妻のセリフも、坂口安吾『堕落論』を知っているわれわれにはありきたりに聞こえる。映画ではどう処理されるのか?

<ヴィヨンの妻>の最後。
「私は格別うれしくもなく、
「人非人でもいいじゃないの。私たちは、生きていさえすればいいのよ」
 と言いました。」


それにくらべて 同じ頃(昭和22年頃)発表された「トカトントン」は今読んでも益々光彩を放つ、圧倒的なできばえである。http://www.aozora.gr.jp/cards/000035/files/2285_15077.html


ヴィヨンの妻のラスト:

私は
「人非人でもいいじゃないの。私たちは、生きていさえすればいいのよ」
と、言いました。

ではなく、

私は、空を見上げて、
      「トカトントン」
 と、言いました。
 
。。にしたらおもろかろう。

 夫も空を見上げ、二人で

がはははは!!
 ぐふふふふ~!

と、大笑いして、ジ・エンド。映画では是非こうしてもらいたい。 



小説『トカトントン』の最後も若干お説教臭い。

「。。。マタイ十章、二八、「身を殺して霊魂(たましい)をころし得ぬ者どもを懼(おそ)るな、身と霊魂(たましい)とをゲヘナにて滅し得る者をおそれよ」この場合の「懼る」は、「畏敬(いけい)」の意にちかいようです。このイエスの言に、霹靂(へきれき)を感ずる事が出来たら、君の幻聴は止む筈(はず)です。不尽」


このあと、

 「。。なんちゃって。トカトントン!」

。。。を追加してこの短編を締めくくれば、完璧。いまなら太宰賞は無理にしても、芥川賞あるいは筒井康隆賞ならラクに受賞できる。


昭和20年8月15日以後、何人のニッポンジンの耳でトカトントンが鳴ったか。



 朕深ク 世界ノ大勢ト 帝國ノ現状トニ鑑ミ 非常ノ措置ヲ以テ 時局ヲ収拾セムト欲シ 茲ニ 忠良ナル爾臣民ニ告ク
 朕ハ 帝國政府ヲシテ 米英支蘇 四國ニ對シ 其ノ共同宣言ヲ受諾スル旨 通告セシメタリ  トカトントン

 抑々 帝國臣民ノ康寧ヲ圖リ 萬邦共榮ノ樂ヲ偕ニスルハ 皇祖皇宗ノ遣範ニシテ 朕ノ拳々措カサル所 曩ニ米英二國ニ宣戦セル所以モ亦 實ニ帝國ノ自存ト 東亜ノ安定トヲ庶幾スルニ出テ 他國ノ主權ヲ排シ 領土ヲ侵カス如キハ 固ヨリ朕カ志ニアラス トカトントン   


 然ルニ 交戰巳ニ四歳ヲ閲シ 朕カ陸海将兵ノ勇戰 朕カ百僚有司ノ勵精 朕カ一億衆庶ノ奉公 各々最善ヲ盡セルニ拘ラス 戰局必スシモ好轉セス 世界ノ大勢亦我ニ利アラス
 加之 敵ハ新ニ残虐ナル爆彈ヲ使用シテ 頻ニ無辜ヲ殺傷シ 惨害ノ及フ所 眞ニ測ルヘカラサルニ至ル  トカトントン

 而モ 尚 交戰ヲ繼續セムカ 終ニ我カ民族ノ滅亡ヲ招来スルノミナラス 延テ人類ノ文明ヲモ破却スヘシ
 斯ノ如クムハ 朕何ヲ以テカ 億兆ノ赤子ヲ保シ 皇祖皇宗ノ神靈ニ謝セムヤ
 是レ 朕カ帝國政府ヲシテ 共同宣言ニ應セシムルニ至レル所以ナリ トカトントン  

 朕ハ 帝國ト共ニ 終始東亜ノ開放ニ協力セル諸盟邦ニ對シ 遺憾ノ意ヲ表セサルヲ得ス
 帝國臣民ニシテ 戰陣ニ死シ 職域ニ殉シ 非命ニ斃レタル者 及其ノ遺族ニ想ヲ致セハ 五内為ニ裂クトカトントン
 且 戰傷ヲ負ヒ 災禍ヲ蒙リ 家業ヲ失ヒタル者ノ厚生ニ至リテハ 朕ノ深ク軫念スル所ナリ トカトントン
  

 惟フニ 今後帝國ノ受クヘキ苦難ハ 固ヨリ尋常ニアラス
 爾臣民ノ衷情モ 朕善ク之ヲ知ルトカトントン
 然レトモ朕ハ 時運ノ趨ク所 堪ヘ難キヲ堪ヘ 忍ヒ難キヲ忍ヒ 以テ萬世ノ為ニ 大平ヲ開カムト欲ス トカトントン
 
。。。


昭和天皇は聡明な人だったそうである。「玉音放送」を録音時、耳に高らかにトカトントンが、何度も鳴り響いたに違いない。





玉音放送@wiki http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%8E%89%E9%9F%B3%E6%94%BE%E9%80%81
youtube http://www.youtube.com/watch?v=LSD9sOMkfOo
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正義の悪漢

私は、大学受験の浪人中に、丸一年間、太宰治に完璧にいかれました。
古本屋を回って、初版本を買いあさり、「Human Lost」の掲載されている雑誌まで買いました。
それが、丸一年経った時、まるで「トカトントン」ではありませんが、はっと目が覚めました。
太宰治が書いていることは、異常なるナルシシズムと自己憐憫と、それによる自身の正当化でしかない。そして、夢中だったときには感じなかった気持ちの悪いまでの感情過多。
それで、キツネ付きが落ちたように、今までとは逆に太宰が大嫌いになってしまいました。
一緒に、太宰に惚れていた人間は、私を非難して「それまで、崇拝していたのに、突然けなし始めるとは、お前という人間は信頼できない」と云いました。
今でも、太宰治が好きだと言う人間を見ると、色眼鏡をかけてしまいます。
三島由紀夫も太宰が大嫌いだったそうで、面と向かって、「私は貴方が嫌いだ」と言ったそうです。
まさにむべなるかなです。同類は同類を嫌う物ですから。
私は、三島も気持ちが悪くて大嫌い。
by 正義の悪漢 (2009-06-18 22:57) 

タツ

古井戸さん、お元気でしたか?

太宰治の実家の津島家は、対馬から昆布を求めて北上した錬金術師の子孫だから、日本史の裏側みたいなことをDNAで感じていたでしょうね。元々は台湾に潜んでいたユダヤ人かもしれない。日本語の発生に錬金術が絡んでくる面白い話できます。

玉川上水は松尾芭蕉が工事監督したでしょう。労働者に昆布を配っていたはずです。伊賀忍者と昆布の関係は常識ですから。

サクランボの伝来ルートは、これから調べます。五所川原は、都落ちした僻み根性で『源氏物語』を読んでいた土地。

わたしも、いま、ブログ止めてます。いよいよの予感ありますので、がんばりましょう!

by タツ (2009-06-19 19:37) 

古井戸

悪漢さん。

>三島由紀夫も太宰が大嫌いだったそうで、面と向かって、「私は貴方が嫌いだ」と言ったそうです。

これは有名なハナシですが、。。三島の駄目なところですね。

私も好きか嫌いか、といわれると、三島も太宰も(というより、小説家は)嫌いです。しかし、有用な種族ではありますね。大いに利用すべし。太宰は寄席で語り口を学んだ。。といいます。野坂昭如が真似したんじゃないか、と思われるような饒舌体。

タツさん。

元気ではありません。へたばっています。

>いよいよの予感。。

わたしも、イヨイヨ、その時がきそうなきがします。。。

ナマンダブ

by 古井戸 (2009-06-19 21:25) 

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