蝶墜ちて大音響の結氷期 富澤赤黄男 [Art]
<現代俳句>なるものを私が知ったのはこの一句から。
何度も何度も反芻した句である。あまりに濃すぎるイメージ。『蝶墜ちて』だけで十分。あとは余計とおもうほどになった。富澤赤黄男は俳人ではない。最先端をいく現代詩人である。
富澤赤黄男 とみざわ かきお(1902~1962)
鶴昏れて煙のごとき翼ひけり
翡翠よ白き墓標のあるところ
靴音がコツリコツリとあるランプ
砲音の輪の中にふる木の実なり
豹の檻一滴の水天になし
花粉の日 鳥は乳房をもたざりき
窓あけて虻を追ひ出す野のうねり
蝶墜ちて大音響の結氷期
秋暑し豹の斑の日に粘り
冬蝶の夢崑崙の雪雫
この代表句は次のHPの撰による。
俳 句 の 歴 史
10人の俳人とその作品
http://www.big.or.jp/~loupe/links/jhistory/jkakio.shtml
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富澤赤黄男は象徴主義の詩の影響を受け、俳句に抽象表現、隠喩(メタファー)、
アナロジーなどの西洋的な手法を積極的に導入して、近代人の憂愁を表現しよ
うとした。
赤黄男の俳句に対する評価は、現在でも大きく分かれている。特に伝統的な俳
句の方法論を重視する作家たちは、赤黄男をはじめとする新興俳句の価値を強
く否定している。
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2008-07-06 08:07
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