三橋鷹女と橋本多佳子 [Art]
三橋鷹女
あぢさゐの闇夜も知らぬ深眠り
老いながら椿となつて踊りけり
風鈴の音が眼帯にひびくのよ
夏痩せて嫌ひなものは嫌ひなり
きしきしときしきしと秋の玻璃を拭く
蔦枯れて一身がんじがらみなり
てのひらに蜂を歩ませ歓喜仏
千の虫鳴く一匹の狂ひ鳴き
墜ちてゆく燃ゆる冬日を股挟み
暖炉灼く夫よタンゴを踊ろうか
炎天を泣きぬれてゆく蟻のあり
薄紅葉恋人ならば烏帽子で来
藤垂れてこの世のものの老婆佇つ
つぎのHPから好きな句を選んだ。
http://uraaozora.jpn.org/haimitsu.html
橋本多佳子
雪はげし抱かれて息のつまりしこと
月光にいのち死にゆくひとと寝る
息あらき雄鹿が立つは切なけれ
雪はげし夫の手のほか知らず死ぬ
泣きしあとわが白息の豊かなる
あぢさゐやきのふの手紙はや古ぶ
祭笛吹くとき男佳かりける
いなびかり北よりすれば北を見る
つぎのHPから選んだ。
http://www.suien.net/takako/
清張と多佳子
http://www.01.246.ne.jp/~yo-fuse/bungaku/seichou/seichou.html
2008-07-06 07:56
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コメント(4)
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明治の女性はすごいですね。これだけの表現すべき現実があったのですね。自分を古い体制から解き放とうとしたのでしょうか。HPにあった『この樹登らば鬼女となるべし夕紅葉』はぐっときました。
by whitered (2008-07-06 17:32)
whiteredさんも、彼女らに匹敵する体験がおありなのじゃないでしょうか。
俳句をつくられてはいかがですか?
by 古井戸 (2008-07-07 11:24)
とるにたりない体験で恥ずかしいです。しかし、このごろ新古今→後鳥羽院→短歌に興味を持ち始めて、ときどき絞り出しているところです。俳句の方が言葉が少ないだけ難しいように思います。私の母は晩年俳句をやっていました。病やら死やらを書くので、俳句が泣いていると、師に言われたようです。まず、たくさんの俳句や短歌を読んで意味が分かるようにしたいと思っています。
by whitered (2008-07-07 18:05)
>病やら死やらを書くので、俳句が泣いていると、師に。。
そうかなぁ。。病や死はけして暗い、とはおもいませんが。
最近になってようやく、歳時記とか万葉集を読むようになりました。遅い、っちゅうの! 朝日新聞社から出ている、俳句文庫、というのはいいですね。歳時記も各種出ています。いろいろ特徴があって面白い。
女流俳人の句は、観念的でなく、肉感と情念がほとばしりでて分かり易い。わたしの母は農婦で働きづめの人生(まだ元気です)でしたが、。。こういう人生も母にはありえたはずだ。。と思いながら読んでいます。
by 古井戸 (2008-07-08 04:49)