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映画『靖国』 その4 [Joke]

映画『靖国』がまだ 話題になっているようだ。Joke その4。

映画「靖国」 文化庁、助成は「妥当」
文化庁所管の独立行政法人が映画「靖国 YASUKUNI」(李纓監督)に助成金( 750万円)を交付したことの妥当性をめぐり、文化庁の高塩至次長は25日の参院文部科学委員会で、「日本映画とはわが国の法令により設立された法人が製作した映画。(助成交付の)基本方針をもとに審査が行われ、助成が決定した」と答弁、助成金交付は妥当だとの認識を示した。水落敏栄氏(自民)の「客観性に欠け、政治的背景がある映画に助成金を出してよいのか」との質問への答弁。
 水落氏は、助成対象が「日本映画」とされているにもかかわらず、映画の共同製作者や製作スタッフの大半が中国人であることを挙げ、「明らかに中国映画で客観性に欠けており、助成金は返還してもらいたい」と述べた。


タゴサク議員が中学生にも馬鹿にされそうな議論をしている。 プロ野球ロッテや オリックスは 米国球団か? 蒙古斑のある力士が東西横綱を張っているニッポン国の国技大相撲を、文科省が支援していてエエのか! ニッポンを主題にしている映画であるなら、制作者が外国法人であっても助成金を出してなにがわるいのか。ODAのように紐付きならば支援してエエのか?



月刊誌『世界』が、Li Ying監督にインタビューしている。5月号p219~225。

080414_1625~01監督.JPGLi Ying監督@『世界』2008年5月号

以下、編集部の質問Li Ying監督の応答を引用する。


自民党の稲田朋美衆議院議員が事前の「試写」を求め、批判を浴びています。彼女が会長をつとめる自民党の若手右派による「伝統と創造の会」の通信でも彼女は、「この映画は中国人監督により作られた映画で、靖国神社をテーマにしたものですが、なかに『靖国刀』をクローズアップして、『百人切り』の新聞記事や真偽不明の南京事件の写真を使って、反日映画になっているようです」、「問題はこの映画に対して、文科省所管の日本芸術文化振興会から。。。助成金750万円が交付されていることです」と書いています。


助成金問題のアホらしさは上記。<反日>映画という意味は、「伝統と創造の会」のイデオロギーに合致しない、という意味だろう。(ちなみに、わたしの辞書で<反日>を検索すると、ノーターリンが使用するボキャ、と解説してある。)


稲田さんもこの映画の中に出てきます。彼女が議員になる前の姿です。8月15日に20万人参拝しようという運動の集会で、宣誓文を読み上げています。(略)

もともと、稲田氏は南京事件「百人切り」訴訟など、歴史認識が問われる裁判で弁護人をつとめていましたから、私は彼女について研究していました。インタビューも申し込んだのですが、断わられました。(略)

しかし、私はこの映画を通じてさまざまな立場の人とコミュニケーションしていくことを大事にしたいとおもっています。彼女とのコミュニケーションも、そういう意味で大切にしたい。しかし、彼女のためだけに試写会をやるわけにはいかないので(笑)、全国会議員を対象にした試写会を開催しました。

(助成金について)

それはそれとして、彼女がこの映画への助成金を問題視していることは、非常に不思議なことです。それは一種の政治的な審査以外のなにものでもないでしょう。他の言葉に言い換えれば、つまり検閲です。芸術文化振興基金として申請を受け付け、審査を行い、助成金の支給を決定するというプロセスはすべて終了しています。そのうえに彼女が重ねて審査を加える必要はありません。この作品に対する不快感は、別の形で表現すればいいことです。彼女が「反日」だと考えた表現に対して、議員という立場から圧力を加えることは非文化的行為です。

この映画が「反日映画」などではないことは見ればわかることでしょうが、それを別にしても、彼女がやっていることは、日本の多様な表現を支えるためのシステム、芸術文化の振興事業に対する挑戦だと言えるでしょう。試写会で実際にこの作品を見終えても、彼女はまだ助成金について問題にしているようですが、そうであれば、もう彼女が芸術文化振興基金の審査員になって、すべての映画を「反日的」ではないか審査するしかないでしょうね。それがすなわち検閲ということなのですが。


インタビュー全体を読んで、タゴサク議員たちとこの監督の<文化度>の差は歴然としている、とわたしはおもう。


ところで、産経新聞が次のニュースを載せている。

「靖国」出演の刀匠 「出演場面と名前を映画から削って」と明言

 映画「靖国 YASUKUNI」に登場する高知市の刀匠、刈谷直治さん(90)が、作品から自分の映像を削除するよう求めている問題で、刈谷さんが11日、産経新聞の取材に応じ、「上映を了承したとは一言も言っていない。出演場面と名前を映画から削ってほしい」と話した。(略)

一方、10日の会見で李監督から「(刈谷さんを)変心させた」と名指しされた自民党の有村治子参院議員は11日、産経新聞社の取材に対し「国会で質問するため、伝聞ではなく直接本人の話を聞こうと、電話した。上映うんぬんについて一度も言ったことはなく、変心させる意図も働きかけも一切ない」と反論した。刈谷さんは、この電話について「出演場面を削除してほしいというようなことを(有村議員サイドに)伝えた」としている。



刈谷氏「上映を了承したとは一言も言っていない。出演場面と名前を映画から削ってほしい」。
これはどういうことか? 

監督は刈谷氏を隠し撮りしたのではあるまい。さらに、この映画にはナレーションが全く入っていない。すべて画像の前後関係で処理されている。もちろん、監督のメッセージはそのなかで伝えられているのでありこのメッセージが登場人物すべてに共有されるかどうかは監督の関知するところではない(一致すれば奇跡である)。 

刈谷氏に限らず登場者が、どうしても、我慢ならぬ、と言うのであれば、その旨のメッセージをこの映画に、スクリプト、画像、本人あるいは他人のナレーションにより追加して上映すればよいではないか。強引な編集手法で監督がメッセージを観客に伝えようとしても、その手に観客が乗るだろうか? 刈谷さんその他の登場人物(恐らく多数いる)が理解する必要もないし、できなくても不思議でない。説明不要。 観客の鑑賞眼を信じる他はない、と心得るべし。  編集過程に登場者が口出しする、などという文法は映画(だけでなく、活字メディアであっても、だ)にはないのである。これを認めればメディアというものは成立しない。 映画『靖国』が気に入らないグループは、これに対抗して、国粋監督による『反・靖国』でも製作すればよかろう。(ただし、ろくな企画書も書けまいから、文化庁からの助成金は無理ね)

編集過程に問題有り(有りもしない画面を追加など)、というのであれば、まず観客や評論家に公開した後で、議論を起こせばいいではないか。それで監督の評価も定まるだろう。完成品も公開せずに、検閲で削除を要求したり、それに応じるようであればニッポン=非文化国、とレッテルを貼られるだけである。


それはともかく、試写会の要求にも唖然とするが、公開前に映画の登場人物に電話を入れる、などの干渉も恐れ入った。ニッポンだけに封じ込めておきたい、嬉し恥ずかしいオハナシである。


先のインタビューに続けて次の応答がある。。

稲田氏への反発も強いようです。

この問題は(反発と、検閲)日本の映画界、いや、すべての文化界にとって大きな問題でしょう。反発が大きいのは、日本社会の良識の強さを表していると思います。

こうした一連の動きを含めて、「靖国現象」なのでしょう。この映画の公開も、それへの稲田さんたちの反応も、靖国現象の延長上にあります。どんなことが起きてもおかしくありません。


この映画の公開を巡るケーハク国会議員たち、映画館経営者、ドーカツ野郎達の記録も、是非、フィルムにし、メーキングとしてDVDに追加して欲しいものである。
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正義の悪漢

この、有村という議員、異常だ。
どうして公開前の映画に出ている人に、あれこれ、電話をかけるの。
この、動画では2回目の電話だと言っているが、刈谷という人は、最初に電話を貰ったときに、何か圧力を感じたに違いない。
議員から、こんな電話を貰うだけで、田舎の素朴な人には、飛んでもない圧力だ。おかしなことに巻込まれたくない、と思うのも人情だ。
この、有村議員のいけしゃあしゃあとした、態度。
日本も、ここまで落ちたかと思うと、情けなくなる。
by 正義の悪漢 (2008-04-19 17:00) 

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