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立川ビラ配布事件 [Joke]

立川でビラを郵便ポストに入れただけで、75日間の勾留を受け、一審無罪、二審有罪、先日、最高裁で有罪が確定した事件、があった。

新聞を数紙読んだが、わたしの見た中では、愛媛新聞の社説がもっとも簡潔、まともな意見である、とおもう。

##引用 (大部分引用となる。愛媛新聞さん、ご容赦を)
反戦ビラ有罪確定 表現の自由がおびやかされる
 判決は、憲法が保障する「表現の自由を尊重しなければならない」としながらも、建物の管理者の意思に反した行為だったことを重視し、有罪とした。表現の手段を制約したとはいえ、実質的に表現の自由を制約することにつながりかねない。
 また、こうしたほとんど実害のない微罪での逮捕が合憲と判断されれば、国家権力による恣意(しい)的な摘発が可能になり、政治弾圧につながる恐れがある。憂慮すべき事態だ。  
三人はビラを郵便受けに入れるため、東京都立川市の自衛隊宿舎の階段や通路に一―二回立ち入ったとして逮捕された。
 一審東京地裁八王子支部判決は「住居侵入罪に当たる」としながらも、「憲法が保障した政治的表現活動。被害程度も極めて軽い」として、全員を無罪とした。
 これに対し、東京高裁は「表現の自由が尊重されるべきであっても、他人の権利を侵害して良いとはいえない。被害も軽微ではない」と、まったく正反対の結論を導いた。
 最高裁判決では表現の自由をどの程度尊重するかが注目されたが、二審と同様「憲法は表現の自由を絶対無制限に保障したものではない」と規定した。  
その上で「表現そのものではなく、表現の手段が他人の権利を不当に害することは許されない」との判断を示し、被害も「極めて軽微だったとはいえない」と二審を追認した。
 最高裁も判決の中で認めた通り、政治的意見を記載したビラの配布は表現の自由の行使である。しかし、今回の判決で政党や市民団体がビラ配布に制約を感じてしまうのは確実だ。
 現に、この「立川反戦ビラ配布事件」以来、管理人から断られたり、市民団体が活動を控えるなどの影響が出ている。国が狙った「萎縮(いしゅく)効果」が十分に発揮されている。
 そもそも、政治ビラを集合住宅の郵便受けに入れる行為がそれほどの罪なのか。市民感覚からすれば、大いに疑問だ。
 宿舎では商業宣伝ビラが投函(とうかん)され、放置されていた。今回のビラが政府に批判的だったために狙われたとも受け取れる。  
住民が出した被害届も、宿舎管理担当の自衛官が「警察が代筆したものに押印しただけ」と証言している。にもかかわらず、三人は逮捕され、七十五日間も拘置された。  
来年五月二十一日から施行される裁判員制度は、市民の常識や感覚を裁判に反映させることなどを目的にしている。今回の判決は皮肉にも、市民感覚との乖離(かいり)を自ら証明してしまった。
 最高裁は判決の中で「表現の自由は、民主主義社会で特に重要な権利」と述べている。言葉とは裏腹に、その認識が欠けていると言わざるをえない。

##


上級審にいくほどオカシナ判決が出るのがニッポン。この国際的定評は今回もキッチリ、護持された。

郵便ポストにビラを入れるのは、そのビラが公序良俗に反するモノ(未成年に有害なモノ、など)でない限り、それを(受け手は)拒否できない、というのが表現の自由の内容だと思います。(受け手の思想・信条に反する)政治的な文書などを郵便ポストに入れてはならない、ということはできません。郵便ポスト(個別であろうと、共用エリアであろうと)まで立ち入っただけで<不法侵入>とは驚くばかり。冗談としか思えない。郵便配達や宅配業者は外部から自由にアクセスできる例外的エリアとミナすべきです(江戸時代=鎖国時の、出島のようなもの)。

公序良俗に反するものを拒否、取り締まりたいのなら、<不法侵入>なのではなく、淫行勧誘罪、わいせつ物頒布罪など個別の罪を用意すべきです。 

そもそも、憲法で表現の自由がなぜ認められているか?さまざまな意見を自由に交換し、競争することによりより精度の高い真実に到達する可能性をみとめているからです<思想の自由論>。今回は管理人=自衛官が被害届を書き、個別の住人がハンコをついたものが警察に受理されたそうです。 ビラの内容が違反に相当するのではない(政治的主張の表現であり、公序良俗に反しない)、と判決でいっている。では何が犯罪になるのか? 自衛隊官舎で、現在の自衛隊の取ろうとしている施策に反対するビラを投函するなどケシカラン!といっているだけ。表現の自由とはノッパラで主張を叫ぶ自由ではありません。受け手の賛成・反対に顧慮することなく、発信者は主張を表現する自由がある、ということです。気に入らないことを聴いたり読んだりするのが苦痛のひともいるかもしれませんが、これをうまく処理(反対、納得、無視、など)するのは社会人の最低条件です。

ビラの主張の内容(たとえば、イラク派兵反対)が許容されるかどうかは配布以前に決まるモノであり、配布された住宅が主張の内容に関連の強い自衛隊官舎であろうと、そのことゆえに配布が束縛されないのが<表現の自由>の内容です。選挙シーズンになると候補者団体から応援ビラが配布されるが、 xxx 党の、ビラを入れることをユルしません! 入れたら警察に被害届を出します! この被害届を警察は受理するのか(配布した人間を何十日も勾留するのか)どうか、と言う話です。 


裁判員制度がはじまりますが、対象となる事件は殺人とかの刑事事件ばかりのよう。むしろ、本件のような市民が日常的に遭遇する機会の多い事件を対象とし、裁判官・検察の歪んだ常識を矯正していかなければならないとおもいます。


余りに馬鹿げた判決ゆえ、本記事のカテゴリはJokeとする。


追記: 自分と反対の主張のビラや郵便物は受けたくない、という場合はどうすればいいのか? 郵便受けを設置せず、経費がかかるが郵便局留め、とする(私書箱)。あるいは、集合住宅の場合、ポストへの一般立ち入りは認めず、許可制(立ち入りバッジを付けた物だけがポストまでたどり着ける)にする。。。 郵便物として反対ビラを各戸に配布した場合も被害届を出すのだろうか。

追記2: <自国軍家族>宿舎に、軍の施策に反対するビラを外部の市民が配布した場合、配布した市民が勾留・有罪にされそうなのは世界を見渡して、北朝鮮を別格として除けば、中国・ロシアくらいだろう。 5月に胡錦涛首相(昔、自ら先頭に立ってチベット暴動を鎮圧し、鄧小平の憶えよろしきを得た)が来日するそうだから、警察・検察はじっくり意見交換すればよかろう。

追記3: 毎日新聞4月12日 東京朝刊

 2審判決によると、3人は04年1月、官舎内に立ち入り、各戸の玄関ドア新聞受けにビラを入れた。大洞、高田両被告は同2月にも立ち入った。1審・東京地裁八王子支部は04年12月、「正当な政治的意見の表明で、罰するほどの違法性はない」と全員を無罪としたが、2審は「表現の自由は尊重されるべきだが、他人の権利を侵害してよいとはならない」と1審判決を破棄していた。


この記事によると各戸の新聞受けにビラを入れている。ここで、問題になるのは、次の二点。

1 不法侵入の定義
配布者&配布内容を特定して、各戸あるいは管理人が 配布禁止を言い渡すことができるのか、ということである。ビラを郵便受けに入れる、入れないにかかわらず、以後、当人が立ち入った場合(郵便配達や宅配便業者は自由に入れるのだから、郵便受けにビラを配布する行為を 不法侵入とはいえまい? 特定の政治的主張をもつビラ(公序良俗に反しない内容であるのに)を配布することを禁じることができるのか?ということと、 郵便ポストまで立ち入ることを禁ずることができるのか、ということである(違反した場合、不法侵入になるのか)。 具体的に言えば、特定の政治的主張をもつビラを選択して、郵便受けに配布することを禁じ、違反した場合は、被害届を警察に出し、警察はこれを受理するのか、ということである。このとき、各戸は配布者に対し、配布を禁止することを(内容証明郵便)などにより事前通知する必要があるのか、口頭注意でよいのか、など(再度配布した場合、警察に被害届を出す、などと)。

2 表現の自由は何かの犠牲ナシには得られないこと。
「表現の自由は尊重されるべきだが、他人の権利を侵害してよいとはならない」。この言い分はナンセンスである。表現の自由は本文でも書いたように、誰もいないところでなされるのではなく、電子メールでも物理的な郵便受けでも、 受け取る=眼に触れる、物理的な紙となって配達されるのだから、受け手によっては<不要物が投棄された、心的な苦痛を受け>るという言い分はつねに成り立つ。これを違法とせず受容しなければならない、というのが表現の自由を保障するということだ(その侵害以上に利益を受けるひとがいる可能性があるからである)。 ビラの内容によって、その都度、不法侵入になったりならなかったり、では 表現をする人間=市民の生活の安定が犯される。街頭演説を聞いて不快な思いをした、と、不快なビラをもらった、と、被害届を出すことはできない(演説や、ビラの内容が公序良俗に反しないならば)。 表現の自由は、他人の権利を侵害することによって初めて成り立つものである。条件付きで認められる、というのであれば、その条件を事前に明示しておかなければならない。 


<反日>とレッテルを貼って映画の事前検閲したり、映画館に対し上映するな、とドーカツしたという事実があるのに、ほったらかしている國のことだからなにがおこるか、わかったものじゃない。



##


この判決に反対する側、支持する側の記事をひとつづつ掲載しておきます。

<立川 + ビラ + 有罪 > などで検索すれば関連記事が沢山見つかります。


●反対(異議)の立場から
西日本新聞社説 http://www.nishinippon.co.jp/nnp/item/15781?c=181
落胆を禁じ得ぬ有罪確定 反戦ビラ判決

●肯定の立場から (注意: この記事は、第二審=控訴審、昨年12月9日の判決後の意見である)
プロ市民の立川自衛隊官舎ビラ配りに<No!>の控訴審判決http://www31.ocn.ne.jp/~matsuo2000/E/E62.html


この事件、中学・高校授業「公民」のデベート・テーマとしてピッタシではないか。

先生: おれら、ウヨクの街宣車が連日、ガーガー騒ぎまくっている中で 日教組大会開いているんやけど、付近の住民の迷惑になる、って ウヨクが タイホ拘留されたとか、街宣車を捕獲、破砕したっていう話は聞いたことないのぅ。 きみら、どーおもう?
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長谷川 純

こんばんは、長谷川です。
この判決を下した最高裁判事について、
元毎日新聞記者の田中良太さんが
書いているので読んで見て下さい。
長谷川

「ビラ配布有罪」判決を下した最高裁判事たち
田中良太2008/04/15
ビラを集合住宅で配ると住居侵入罪で有罪というバカバカしすぎる判決が最高裁で言い渡された。この3人の裁判官を初め、現在の最高裁は小泉内閣人事によってつくられている。「栄光のポストに任命してくれた小泉内閣批判のビラなど、とんでもない、という心情にもとづく判決だ」と批判して、「げすの勘ぐり」と否定しきれるだろうか。
目 次
 (P.1) あまりにおかしな判決
 (P.2) 津野、中川裁判官の略歴
 (P.3) 島田、古田裁判官の略歴
 (P.4) 小泉内閣がつくった現最高裁

◆あまりにおかしな判決
 集合住宅でビラを配布すれば住居侵入罪(刑法130条)に問われ有罪というバカバカしすぎる判決が11日、最高裁第2小法廷によって言い渡された。
http://www.news.janjan.jp/column/0804/0804134797/1.php
by 長谷川 純 (2008-06-06 22:34) 

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