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辞書解体 [General]

                                    

                           ジーニアス英和大辞典(大修館)と研究社新英和大辞典六版

 

 

New Oxford Dictionary of English (NODE)は日本で言えばランダム大英和に相当するボリュームの、よい辞書だ。大きさはランダム大英和(ジーニアス英和大辞典、研究社新英和大辞典と同じ大きさ)に比べて、高さが10%、幅が20%だけNODEのほうが大きい。重量もそれだけ嵩む。片手でヒョイともてるような書物ではない。

http://www.amazon.co.jp/New-Oxford-Dictionary-English/dp/0198604416/ref=sr_1_31/250-4394691-2059415?ie=UTF8&s=english-books&qid=1181465921&sr=1-31

特長は語義が新しいこと、語義の掲載順序が、現時点で頻繁に使用されるものから順に並んでいることである。Oxfordの辞書は歴史的に変化する意味をそのまま時間順に記述するのが習わしである(従来、日本の辞書会社はOxfordの記述をまる写しにしていたから、今では使われない語義あるいは使用頻度の低い語義が単語の先頭に並んでいたりした)。さらにNODEでは、Oxford辞書の伝統である語源を手抜きなく記載している。語源喜寿だけを拾い集めても小形の語源辞典ができるくらい記述は徹底している。語義に2-3行、語源の説名に5~10行という単語がザラにある。語のニュアンスを掴もうと思えば語源の理解は欠かせない。ニッポンの英語学習辞典は語源の記述をサボりすぎている。 

NODEで問題なのは辞書の製本である。わたしはこの辞書が出版されてすぐに丸善で購入したのだが、数ヶ月で壊れてしまった。本体を表紙に接合している部分の強度が弱すぎ、本体がカバーから取れてしまうのである(逆か。カバーが本体から離脱する)。すぐにOxford University Publication(OUP)の日本支社に苦情を言い、取り替えて貰った。ところが、取り替えてもツクリは同じ、しばらくするとまた同じカ所が壊れてしまった。1年後に出版社に再度苦情を言い、取り替えて貰った。ところが。。状態は全く同じなのだ。これは製本工場における偶発的な事故ではなく、設計ミスと考えざるを得ない。再度苦情を言う気にもならず廃棄を考えていたのだが。。。今日タマタマ引いたところ、さすが!とおもわせる記述と用例に当たり、保存を決意、NODEの解体を実施した。(以前から考えていたのだがズルズル、延ばしていたのだ) この解体、分冊化、とぃうのはわたしは、ランダム大英和辞典(小学館)で10年前くらいに実施して、快適に使っている。だいたい、ランダム大英和(研究社の大英和や、大修館のジニアス大英和辞典など)クラスの辞典は広辞苑や大辞林(普及版)に比べても一回り大きく、頻繁に手にとって引けるような大きさではない。頻繁に引くには常に机上に横置きにしておかなければならないのでスペースを取る(あるいはWebster社が大辞典を読むために販売しているような専用机がいる)。ランダム大英和の分冊化を思い立ったのはこの辞典を電車内で立ったまま(あたかも週刊誌を読む如く)読むためだった。当時私は都内に通勤していたのだ(分冊にしたあと、退社して自営業を始めたので電車内で読むという目的には供する機会が無くなったが)。

 

解体、9分冊化したランダム大英和。ちょうど週刊誌の厚さ。

 

分冊化すれば電車でも読めるしトイレやクルマに持ち込んで読むこともできる。机について仕事中に使うにも取り扱いは簡単である。あの大辞典をそのまま片手で引っ張り出すのは億劫であり疲れているときなど辞書を引く気もしなくなる。

 

 

 

辞書会社はなぜ分冊化をやらないのだろうか?大辞典を頻繁にひくものではない!とでもおもっているのか?大辞典は調度品だと考えているのだろうか?

 

三省堂の大辞林は三分冊版を販売しておりこれは極めて便利である。机上版しかないのが難点であるが。机上版は文字も一回り大きく目に易しいし、分冊化されていれば軽量であり億劫がることなく引ける(少年マガジンなど、漫画本の厚さと大きさである)。

 三省堂、大辞林三分冊版、上中下。

 

さて、NODEの解体である。表紙と本体は上述のように設計ミスだから、簡単に手で破って外せる(すでに、表紙と本体の接合部は半分破れており外れる寸前である)。

 

NODEの本体(中身=2150頁)を表紙(裏表、背)から外し.... 5分割した。

 

これを、5分冊に分けた。これは私の使用している、コクヨの製本器で製本できる最大厚さが 1.2mmであることによる制約である(厚くすれば冊数は減るがそれだけ一冊が重くなり取り扱いは不便になる。分冊する意味が無くなる)。

http://www.kokuyo.co.jp/find/catalog/1_detail.php?c1=1117&c2=10&c3=10&sid=7770

 

解体から5分冊に切り分け、製本まで要した時間は30分。コクヨの製本にする場合、<のり付け>強度が問題になるが辞書を解体する場合、背はチャンとのり付けされているので分冊にした後ページが取れるなどの心配はない。

 

 分割したNODEを、コクヨ製本器により簡易製本。5分冊化、一冊約400ページ。

 

辞書は軽量にして、字体も大きくし読みやすくして欲しい。本来、辞書ほど面白い読み物はないのである。現在のような大型重量級の大辞典は腕力のない中学生や女性など手に取る気にもならないだろう。分冊化を大量に販売すれば単価も下がるだろう。辞書は消耗品でありそのコンテンツはドンドン更新しなければならない。10年も改版を怠っているのは出版社の怠慢である。逆に言えば辞書の物理的強度は10年持てばよい、ということだ。大辞典のような重量級にすれば製本も高価になる。表紙を若干堅めにするだけで良く、週刊誌に毛の生えたようなツクリでいいのである。

 *

次の解体は。

白川静の『字通』あたりを。

『字統』『字訓』は普及版が出版されたが『字通』はボリュームもあるから是非、分冊化=普及版を出版して貰いたい。常時、鞄に入れておき、通勤電車で読みたい、という要望は大きいハズである。

 

 

                   

          辞書引きたちの常備品。鞄、机上、トイレ、クルマ、。。あちこちに配備しておくのが望ましい。

           

 

電子辞書やCD版辞書も悪くはない。新幹線、電車、クルマで出かけるときには紙版より便利だ。

が、電池がいる、パソを立ち上げなければならない、線が引けない、書き込めない、ノートパッドが貼れない、何より、見にくい。

電子辞書(英英版)ならなんといってもFranklin社のLanguage Masterが名器である(実売価格=100ドル)。20年以上前にニュージャージ州に出張の折りに買って帰り重宝したのだが(とくに英作文に)、残念無念、5年くらい前にスクリーン上に固いものを落っことして画面が半分くらい写らなくなった。ネット通販もなぜだか同社製品は受け付けられないのだ。で、この夏、NYCに旅行する人に買ってきて貰うよう依頼している。この製品はWebster社と協同で製作しているので語数は20万前後か?圧倒的に使いよい。20年前から基本仕様はほとんど変わっていないのが人気の証拠だろう。キーボードのタッチがよいし、出てくる言葉のセンスもよし、ワイルドカード ?(1文字) と *(任意文字数)を使用した検索も圧倒的な威力を発揮する(たとえば * ing で検索すれば収録している全動詞を検索できる。*ly で検索すれば、lyで終わる形容詞、副詞をすべて検索できる)。スペル訂正もスマート。上記のCasio Ex-wordは研究社のリーダースが入っているが、スペル修正がギコチナイ。

Franklin社のLanguage Master:

http://www.franklin.com/estore/dictionary/LM-6000B/

 

                 辞書は紙さま

 


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コメント 6

センツル

辞書の重さは本当に堪えます。

私が日頃お世話になっている『日本国語大事典』(小学館)は全13冊、『大漢和辞典』も全13冊。分冊でも、前者の旧版はとくに重くて。後者は最初から縮刷版を購入しました。おかげで最近は(加齢のため?)、ピントを合わせるのにしばし時間がかかるようになりました。

記事は遡りますが、先日のNHKの放送、放映時間を失念していて、最後のところしか見ることができませんでした。内容を記して下さって、ありがとうございます。

かつて映画館で『砂の器』を見たとき、いまだ幼かった私は、なぜあの父子が旅に出なければいけなかったのか分かりませんでした。ただ、加藤嘉さんの姿は、いまも鮮明に覚えています。

後に、あの父子が村を追われた理由が分かるようになり、同時に、断種のことやホルマリン漬けにされた嬰児の存在も知りました。とはいえそれも私の中では、どこかしら歴史的事柄のひとつであったような気がします。

それが現実に・・・・・。長い時を経ての我が子との再会。その心情を想像するだけで、胸が重くキリキリと苦しいです。
by センツル (2007-06-10 22:30) 

古井戸

> 加藤嘉さんの姿は。。。
 あの、叫び声は、消えませんねえ。。

今夜NHKのアーカイブ、11:40pmからも脇役で出ますよ。『今年の秋』。主演は笠智衆です。

Oxford の大辞典はCDROM版 を使用しています。20巻?以上もあれば置く場所もありません。検索機能など紙版では想像もできない機能です。

後ひとつ辞書への注文は、新版を出すとき、新語にはマークを付け(色でもよい)て区別したり、廃棄語も一覧表で示して欲しい(ネットでも可)。初出の時期も重要です。Oxfordではかなり掲載しています。日本語辞典でも広辞苑クラスでは初出時期をすべての言葉に載せて欲しい。初出が江戸時代(古代、奈良、平安。。)なのか、明治以後なのかも教えない国語辞典なんて辞典とは言えません。
by 古井戸 (2007-06-10 23:20) 

蜂谷真紀

今日は、こちらにお邪魔します(笑)

なるほど。マイナスを逆手にとったグッドアイデアかな。
これは便利そうですね。軽いばかりか、今日は「A」、なんて、気分的にも集中できそうです。けっこう引きやすいのでは?
自分で手にかけた物には愛着も生まれましょうし。

そういえば、辞書ってなかなか変わらないイメージありますが、言葉なんて生き物の様なものですものね。。。もっと改訂があってよいのに。私もNODEに買い替えようかな? で、すぐ分解(笑)
by 蜂谷真紀 (2007-06-12 00:51) 

古井戸

蜂谷殿。
紙の辞書は落としても壊れません。電池のない国でも読めます。
頬ずりできます、触れます、あの、紙のニホイが堪りません。。

 電子辞書のスクリーンに触って、ニホイを嗅いだりできますか?。。

蜂谷殿の楽譜も、バラバラでございますね?
     ♪製本してあげます♪

分割して統治せよ。
 古人の言葉に御座る。
by 古井戸 (2007-06-12 01:14) 

蜂谷真紀

鋭い!お察しの通り、私の譜面は、ボーボー、バラバラ状態でございます。時間あらばA4サイズのファイルに入れて整理していますが、複数枚入れるとキツキツになるのがすごく嫌で、後回しになります。コクヨさんでもどこでもOKですが、1センチくらい「ちょっと大きめ」ファイルってないものかしら?

あ。。。探してからにします。意外とあるかも。
または、意外とないのかしらん?

ちなみに私の譜面は全て手書き。今時、作譜ソフトが主流で
手書きが減ってきましたが、手書きは特別なニュアンスを盛り込めたりもします。絵が書いてある譜面もあります。
なにしろ人臭いものです。やはり紙は匂い?かな〜。
by 蜂谷真紀 (2007-06-12 01:55) 

古井戸

> 鋭い!

鋭くはないです。ハチヤのライブ、楽譜がバラバラで、譜面台からよく落ちる、それを拾って、あれ。。。これじゃなかった?ん、どれだった?。。。これでライブの時間の、。。。だいたい、30%は潰れる、でも、。。それでいいのです、こまいことはいわないの、わたしは、ソレモ、コレモ、ライヴなるべし。

自由闊達、右往左往、気宇壮大、天真爛漫当意即妙、奔放不羈融通無碍。

南無。
by 古井戸 (2007-06-12 03:11) 

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